2014 Fiscal Year Research-status Report
覚醒サル体性感覚野における温度感覚受容および痛覚過敏発症機構の研究
Project/Area Number |
25860430
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
海野 俊平 日本大学, 歯学部, 専修研究員 (80418920)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 温度感覚 / 疼痛 / 一次体性感覚野 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経損傷や炎症により、温度感覚や触覚が障害される。大脳皮質には痛覚関連領野が複数存在するが、その障害の発症に対してそれらの領野がどのように関与するかに関しての詳細は明らかになってない。大脳皮質痛覚関連領野の温度感覚受容における役割を明らかにするために、ニホンザルに顔面皮膚に与えた熱刺激の温度変化を弁別する課題を訓練し、大脳皮質より課題遂行中のニューロン活動を記録した。平成26年度は引き続きニューロン活動の記録を行い、1頭のサルでは実験を終了し、記録部位確定のための脳組織標本の作製を行った。その結果、顔面皮膚に対する熱刺激に応答し、課題遂行中に微小な温度変化に対して特徴的な応答を示したニューロンは大脳皮質運動前野に限局していたことが判明した。この結果を踏まえもう1頭のサルでは、引き続き同じ領野からのニューロン活動の記録を継続するとともに、新たに大脳皮質一次体性感覚野(S1)の位置を推定し、運動前野からの記録と並行してS1からの記録も行った。これらの成果は第29回日本ニューロモデュレーション学会(東京、2015年4月)にて発表予定である。今後はS1からの記録を継続、さらにもう1頭の訓練及びS1からのニューロン活動の記録を行い、運動前野とS1それぞれの温度感覚受容における役割を明らかにする計画である。また他領野の関与に関してもさらに検討するために、島皮質からのニューロン活動の記録も計画している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
運動前野より課題遂行に関係する特徴的なニューロン活動が記録され、この領野の温度感覚および痛覚受容に関する新たな役割を明らかにできる可能性がでてきた。運動前野からの記録に注力した分、当初の予定した一次体性感覚野からのニューロン活動記録は遅れたが、現在運動前野と並行して一次体性感覚野からも記録を行っている。また運動前野の活動を記録したことでそれとの比較により、一次体性感覚野の温度感覚・痛覚受容における機能をより明確に示すことができると考えられる。さらにデータの蓄積により27年度は成果の発表を集中して行えると考えている。これらのことから研究全体としては順調に進展していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2頭目のサルの運動前野および一次体性感覚野からの記録を完了させ、運動前野のデータに関しては早期に成果をまとめた論文を発表する。一次体性感覚野に関しては、さらに3頭目のサルを用いてデータを収集し、これも27年度中に完結させる。特に温度感覚・痛覚受容における二つの領域の機能的役割の相違を明らかにすることを重視し、両領野のデータの比較、あるいはそれぞれの領野へのムシモル注入の影響の検討等により、各領野の特異的な役割や両者の関係を明らかにすることを目指す。また残る痛覚関連領野として島皮質からの記録も行いたいと考えている。
|
Causes of Carryover |
学会発表、論文投稿を行う予定であったが、運動前野の記録時に記録部位の推定に予想以上に時間がかかり、結果として学会発表、論文投稿を26年度は行わなかっため、計画より少額となった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
運動前野のデータが蓄積し、また一次運動野のデータも収集できる見込みがたったため、27年度は複数の学会発表、論文投稿を行い、次年度使用額を学会発表費用および論文投稿費用として使用する。
|
Research Products
(1 results)