2015 Fiscal Year Annual Research Report
震災・原発事故で疲弊した零細事業所労働者に対するターゲットを絞った保健指導の効果
Project/Area Number |
25860464
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
各務 竹康 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (20452550)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 東日本大震災 / 産業保健 / 健康診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
東日本大震災および、福島第一原子力発電所事故が労働者の健康状態に与える影響を分析するため、福島県に本社を置く運輸会社A社の社員の健康状態を追跡した。A社は震災にて設備の損壊が多く、震災後全線開通まで2ヶ月を要し、その間は全職員が設備の修復業務に従事した。その後も12月までは軌道の修復により運行本数が減少しており、勤務体系が大きく変化した。 平成20年から平成25年までに行った健康診断の結果より、年齢、性別、身長、体重、BMI、腹囲、血圧、血液一般検査(赤血球数、白血球数、Hb、Hct)、肝機能検査(AST、ALT、γ-GTP)、脂質検査(HDLコレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪)、血糖検査(HbA1c)、視力(眼鏡等使用中の場合は使用時)、聴力(左右1000Hzおよび4000Hz)、尿検査(尿蛋白、尿糖)、喫煙習慣(あり、なし)、飲酒習慣((ほとんど)飲まない、時々、毎日)、運動習慣(あり、なし)についての情報を収集した。収集した情報を分析し、労働環境の変化と照らしあわせて考察した。 健康診断の項目について経年変化の分析を行った結果、震災前年までの結果と比べて、震災年、震災以降の結果で有意な変化を認めなかった。精神面の影響については調査を試みたが、震災前に主要な業務を行っていた者が退職していたり、震災の話をすることに抵抗を感じる者が多かったため、調査を中断した。 今回の結果で有意な変化を認めなかった理由としては、本研究の対象者は震災による生活環境の変化が少なかったことが考えられる。一時的に労働環境は大きく変化したが、労働者およびその家族が避難していないなど、生活環境の変化が少ないことは健康状態の維持に寄与したと考えられる。今後この結果についてさらに分析を進め学術的な公表を行う予定である。
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