2015 Fiscal Year Annual Research Report
社会生活の充実が施設療養中の認知症高齢者のQOLに与える影響の検討
Project/Area Number |
25860465
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
日高 友郎 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (70644110)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 高齢者保健 / 老年精神医学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究においては、当初計画に基づき、調査を継続的に実施するとともに、成果公表に向けた準備を行った。退所者や調査からの脱落が生じたケースについては、さらに追加の入所者が存在している場合には、調査対象者としての選定を検討し、なるべく多くのデータが集まるよう配慮した。なお、成果を以下3点に分けて概説する。 1. 施設入所中の認知症高齢者のQOLに影響すると考えられる要因:身体的要因(服薬管理、ナースコール対応、運動、転倒予防);精神的要因(精神疾患、雑談などによる精神的支援);社会的要因(施設内役割、家族の関係性、地域行事参加)。 2. QOL要因の分類(自律性を活かすことと管理の必要性の葛藤):「自律/他律」と「自立/他立」の概念を用いて4象限に分類した。QOLの観点では認知症高齢者自身の主体性(自律性)を活かしたケアが望ましい。一方で、症状のゆえに自律性に基づいたケアを提供することが困難な面も存在する。健康管理など、施設の責任として実施しなければならない事項と、自律性を活かしたケアの両立が課題であると理解される。 3. QOL向上のための要因を導入する上での留意点:入居者同士のトラブル(施設での生活上のルールを入所者の自律性に任せて決める場合に、入所者間の人間関係の好悪などを理由として特定の入所者への批判や不満が醸成される事態);家族の来訪による不穏(施設への家族の来訪は入所者のQOLを高める面があるが、一方で別離の寂しさなどの情動を生起させる可能性もある。入所者一人ひとりの性格や状況を把握することが必要となる);私生活と安全の両立の難しさ(リラックスするために自室に私物を持ち込むことは肯定されるが、金銭などトラブルの元となるものも存在する)、が存在した。
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