2013 Fiscal Year Research-status Report
新規癌予防法開発に向けた乳酸菌・植物成分併用による癌細胞死誘導の解析
Project/Area Number |
25860466
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
安田 周祐 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (10643398)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 悪性腫瘍 / TRAIL / 癌予防 / アポトーシス |
Research Abstract |
TRAILは、主に免疫担当細胞で発現される抗腫瘍性サイトカインで、アポトーシスを誘導する働きを担っており、癌予防においても極めて重要であることが明らかにされている。一方、癌予防効果が期待されている食品由来成分として、ブロッコリーなどアブラナ科植物に多く含まれる sulforaphane (SFN)がヒト癌細胞に対しTRAIL受容体の発現量を増加させることでアポトーシスを誘導することを当研究室で見出している。そこで、TRAILを誘導するという報告のある乳酸菌とSFNとを併用することでより効率的に癌細胞にアポトーシスを誘導できるのではないかと考えた。大腸癌細胞株HT-29に末梢血単核細胞(PBMC)共培養下で乳酸菌とSFNを併用することでアポトーシスの誘導効果が著明に増強された。この併用によるアポトーシスはTRAILによるものと推察されたため、上清中のTRAIL量をELISAを用いて測定した。その結果、興味深いことに、SFNは乳酸菌のTRAIL発現誘導効果を打ち消す作用を有することが判明した。したがって、SFNと乳酸菌でアポトーシス増強効果が見られたのは、TRAILではなくSFNによって発現抑制を受けないその他の「液性因子X」が乳酸菌によって誘導されたためである可能性が考えられた。 液性因子Xを同定し、SFN、PBMC、乳酸菌の三者併用による細胞死誘導経路を解明することでTRAIL耐性の悪性腫瘍にも応用できる食品成分による分子標的併用予防法の開発を目的として研究を開始した。 まず、三者併用時にどのサイトカインが上昇してくるのかをELISArrayを用いて検討した。その結果、IL-2、IL-4、IL-6、IL-10、IL-12、IL-13、IFNα、IFNγ、TNFα、TGFβ、GM-CSF、G-CSFは乳酸菌刺激によって上昇するがSFNを併用することで上昇が抑制されていることがわかった。 また別の大腸癌細胞株HCT116でも確認したところ、HT-29と同様に三者併用による細胞死誘導効果が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、平成25年度中に液性因子Xの同定とアポトーシスの関与まで明らかにする予定であったが、ELISArrayを用いて検討した結果、IL-2、IL-4、IL-6、IL-10、IL-12、IL-13、IFNα、IFNγ、TNFα、TGFβ、GM-CSF、G-CSFは乳酸菌刺激によって上昇するがSFNを併用することで上昇が抑制されていることがわかった。そのために液性因子Xの同定にまではいたってない。
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Strategy for Future Research Activity |
液性因子Xを同定するために、ELISArrayを行い上清中の種々のサイトカイン量を測定したが同定には至らなかった。今後は、他のサイトカインについても調べていく。また、併用条件なども検討し、より明確に三者併用効果が見られるようにする。 液性因子Xが同定出来次第、アポトーシスを誘導する経路について研究を進めていく。
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