2013 Fiscal Year Research-status Report
細胞傷害性T細胞(CTL)の機能維持と遊走活性に対する石綿曝露影響の解析
Project/Area Number |
25860470
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
武井 直子 川崎医科大学, 医学部, 助教 (00509276)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 石綿 / CTL / ケモカイン / 中皮腫 |
Research Abstract |
石綿曝露は悪性中皮腫や肺癌を引き起こす。石綿の発癌作用はよく知られているが、癌疾患の抑制に働く抗腫瘍免疫機能への石綿曝露影響は不明な部分が多い。抗腫瘍免疫において細胞傷害性T細胞(CTL)は特異的に腫瘍細胞を攻撃する。申請者はこれまでに、石綿曝露がヒトCTLの分化を抑制することを見出した。腫瘍細胞が効果的に排除されるためには、「CTLが分化すること」だけでなく、「分化後のCTL亜集団(Effector,TEM,TEMRA,TCM)が機能を持続させること」、「CTLの遊走(腫瘍部位への遊走とリンパ節への停留)が適切であること」が重要である。CTL亜集団は、ケモカイン受容体とCD45RAの発現動態により分類できる。そこで、本研究の目的は分化後CTLを4亜集団に分類・単離したのち、各CTL亜集団の機能維持と遊走活性に対する石綿曝露影響を調べることである。 平成25年度は、研究実施計画のうち、「分化後エフェクターCTLの分類・単離方法の確立」に取り組んだ。調製した末梢血単核球(PBMC)を放射線照射処理アロPBMCと1週間混合培養し、アロ標的特異的CTL分化誘導を行い、分化誘導7日目のPBMCを回収し、CD8+T細胞を磁気ビーズで回収し、回収したCD8+T細胞をCXCR3に対する蛍光標識抗体で染色し、Effector(CXCR3+)CTL の細胞集団をフローサイトメトリー(FCM)で単離する実験系を確立することができた。この手法によって、Effector CTLを単離することができ、Effector CTLの機能維持と遊走活性に対する石綿曝露影響を調べることができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は「分化後エフェクターCTLの分類・単離方法の確立」に取り組み、得られた研究成果について、平成25年8月3日に開催された第4回 川崎医科大学学術集会において、演題名「ケモカインレセプターに注目したエフェクター/メモリーCTL機能に関する石綿関連分子指標の探索」で、ポスター発表を行った。以上の理由から、本研究課題の研究目的はおおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、3種類の分化後メモリーCTL亜集団(TCM, TEM, TEMRA)の分類・単離方法の確立も行い、分化後Effector CTLとあわせて、3種類の分化後メモリーCTL亜集団の機能維持と遊走活性への石綿曝露影響を調べる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の実施計画を予定していた実験のうち、3種類のメモリーCTLの分類・単離方法の確立が、進んではいるものの未完成であることから、研究試薬などの消耗品の研究費の支出が少なかったことや、予定していた各種国内・国際学会出張を行わなかったので、年度使用額が生じた。 次年度使用額が生じた研究費と平成26年度に請求する研究費については、細胞培養を中心に、細胞培養液、牛胎仔血清、培養プレート、 蛍光標識抗体、 リコンビナント蛋白が不可欠であり、それらの消耗品を研究経費として使用する計画を立てている。また、研究成果は,国内・国際学会などでの報告に加えて、論文に纏めて海外雑誌に投稿・誌上発表するため、出張費、論文校閲費、論文印刷費が必要である。
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Research Products
(1 results)