2015 Fiscal Year Research-status Report
測定阻害因子を含む食品からのアレルギー物質の測定法の改良
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25860474
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Research Institution | Osaka City Institute of Public Health and Environmental Sciences |
Principal Investigator |
村上 太郎 大阪市立環境科学研究所, その他部局等, 研究主任 (70393254)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ELISA / 小麦グリアジン / プロアントシアニジン / Polyvinylpyrrolidone / MALDI-TOFMS |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに本研究ではアレルギー物質7項目[卵、乳、落花生、小麦、そば、甲殻類(えび、かに)]のELISA法によるタンパク質の測定阻害因子のスクリーニングを行ってきた。本年度はこれまでにスクリーニングを行った結果をもとに、アレルギー物質の測定を阻害する原材料のとりまとめを行った。評価の結果、アレルギー物質7項目の中では小麦タンパク質の測定への阻害の影響が大きかった。また、測定を阻害する原材料には共通してプロアントシアニジン(PAC)系ポリフェノールが多く含まれることを確認した。 測定阻害の影響が顕著であった小麦タンパク質の検査法の改良のために、PACとの結合性のあるPolyvinylpyrrolidone(PVP)の共存による抽出法の検討を行った。カカオを含む加工食品からの抽出時に重合度の異なるPVPを共存させて評価を行った結果、分子量の最も小さいPVP K15(平均分子量10000)による効果が最も高かった。 原材料中のPACの構造は多種多様であり、小麦タンパク質の測定阻害機序については明らかでない。PACによる測定阻害の機序の解明のため、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計(MALDI-TOFMS)によって、PACと小麦グリアジンの複合体の検出について検討を行った。測定の結果、PACの共存濃度の増加によって、小麦グリアジン由来のマススペクトルの減少が確認された。しかしながら、小麦グリアジンとPACの複合体由来のマススペクトルは検出されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小麦タンパク質の測定については、PACによる測定阻害を軽減するための分析法を改良した。測定阻害の機序の解析については引き続き検討の必要があるが、計画はおおむね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
測定阻害因子を含む食品からの小麦タンパク質の測定法を改良できたため、本年度は分析法の適用範囲の確認を行う。PACによる測定阻害の機序の解析については引き続き検討を進める。さらに、これまでの研究で得られた成果を取りまとめ、学会発表や論文投稿により研究成果を公表する。
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Causes of Carryover |
本年度は測定阻害機序の解析が当初の予定通りに進まなかったため未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は測定阻害機序の解析のための消耗品と学会発表の出張費、論文投稿のための投稿料として使用する。
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Remarks |
MALDI-TOFMSによる測定は文部科学省のナノテクノロジープラットフォーム(課題番号:S15-NR-0044)を利用し、奈良先端科学技術大学院大学の装置により測定を行った。
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Research Products
(1 results)