2014 Fiscal Year Annual Research Report
NA活性はインフルエンザウイルスの流行形成と増殖性に影響を及ぼすか
Project/Area Number |
25860476
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Research Institution | Osaka Prefectural Institute of Public Health |
Principal Investigator |
廣井 聡 大阪府立公衆衛生研究所, その他部局等, 主任研究員 (40455548)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | インフルエンザウイルス / HA / NA |
Outline of Annual Research Achievements |
インフルエンザウイルスのNA活性がウイルスの性状に及ぼす影響を明らかにするために、病原体サーベイランスで得られたH1N1pdm09の臨床分離株40株(うち耐性株は3株)を用いて解析を行った。 今年度はNPのタンパク量、NAのコピー数とNA活性を比較し、コピー数を基準としてNA活性を解析した結果、NA活性が最も低い3株はすべてNAにH275Y変異を持つNA阻害薬耐性ウイルス株で、活性が最も高い株と最も低い株で蛍光強度(RFU)に4.4倍の差があった。流行状況と比較して、高NA活性株が分離された時期に特徴はみとめられなかった。薬剤感受性株だけでみると、最もNA活性が低い株は最大の株と2.4倍の差であった。全株のNA遺伝子の塩基配列を決定し系統樹解析を行ったが、NA活性とNAの塩基配列との関連はみとめられず、NA活性が高いかを分子系統的に推測するのは困難であった。ウイルスの増殖性を検討するために、高NA活性株、薬剤感受性の低NA活性株、薬剤耐性株をそれぞれ3株ずつMDCK細胞へ感染させ、感染24、48、72時間後の培養上清中のウイルス量をリアルタイムPCR 法により調べたが、増殖性に差はみとめられなかった。 以上のことから、H1N1pdm09の分離株は株によってNA活性に差があるが、ウイルスの性状に違いは確認できなかった。しかし、NAに変異を持つY275株のNA活性がH275株と比較して低いことが明らかとなった。変異によりNA活性が低下する理由について今後さらに検討する必要があると考えられる。
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