2014 Fiscal Year Research-status Report
ICTを利用した2型糖尿病患者の自己管理支援システムの構築とその効果の検証
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25860478
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
林 亜紀 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00381632)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 遠隔医療 / 糖尿病 / 生活習慣 / 自己管理支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、糖尿病患者の自己管理支援を目的として、患者が登録した血糖値・血圧・食事運動内容等を基に療養指導を行い生活習慣の改善を促す、医療ICTシステムを構築する。そして、そのシステムを用いた療法指導が①実際の臨床にどの程度効果があるか(利用期間に応じて血糖値の改善が認められるか)、②臨床的効果があった場合、現在の糖尿病教育入院と同等の効果があるか(入院出来ない患者に対して教育入院に代わる教育手段・教育プログラムとなり得るか)を検証する。 本年度は、pilot studyの結果に基づき、更なるシステムの改修①操作性改善のためユーザーインターフェイス改修、②登録可能な食事項目追加、③栄養素等摂取量評価を数値のみでなくグラフでも表示、④食事内容アドバイスを料理毎ではなく栄養素毎に変更、⑤④に合わせアドバイス内容を変更、⑥④⑤を充実したため管理栄養士が食事画像から栄養素等摂取量の評価を行うサービスを中止、⑦運動内容と生活活動をより詳細に登録するため「身体活動のMETs表」導入、を行った。 一方、前回studyから、患者背景の違いがシステムの臨床的効果に影響を与える可能性があることが分かった。そのため、糖尿病患者を対象とした医療ICTシステムの利用意向票を作成し、当院糖尿病・代謝内科に通院中の患者100名を対象に、患者背景と利用意向について調査を実施した。その結果、利用意向有り群は無し群と比較し年齢が有意に低かった。また、当初の計画ではインスリン注射中の患者は臨床試験から除外する予定だったが、利用意向有り群は無し群ではインスリン治療有無は有意差を認めず、むしろI型糖尿病では利用意向が強い傾向にあった。そのため、今後はインスリン注射中の患者も含めた患者群を対象とし、まずpilot studyを実施して、低血糖・高血糖時対応等の安全性を確認後、臨床試験を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、患者がシステムから支援を得て行動変容が可能かどうかを検討するvalidation studyとそれに基づくシステム改修及びシステムの安全性と正確性の確認を行った後、H26年度中に糖尿病患者を対象とした臨床試験を実施する予定だった。しかし、患者背景の違いがシステムの臨床的効果に影響を与える可能性を考慮する必要があり、臨床試験の実施前に、糖尿病患者を対象とした患者背景と医療ICTシステムの利用意向の関係について調査が必要となった。まず、患者背景と利用意向調査票を作成し、次に当院糖尿病・代謝内科に通院中の患者100名を対象に調査を実施した。その結果、インスリン注射中の患者は利用意向が強い傾向があることが明らかになったため、当初はインスリン注射中の患者は臨床試験から除外する予定だったが、インスリン注射中の患者も含めることにした。この患者群を対象としたpilot studyを実施して、低血糖・高血糖時対応等の安全性を確認後、臨床試験を実施することにしたため、予定より遅れている
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Strategy for Future Research Activity |
システムの利用意向調査の結果を基に、臨床試験に参加する患者を選定する。インスリン注射中の患者を対象としたpilot studyを実施し、システムの安全性を確認した後、臨床試験を実施する。
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Causes of Carryover |
臨床研究の実施が次年度に持ち越されたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
臨床研究実施の際の物品購入と専門的な助言を得、また、研究成果を学会と論文で発表するために使用する予定である。
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