2013 Fiscal Year Research-status Report
ABO式血液型遺伝子の発現制御に関わる転写ファクトリーの解明
Project/Area Number |
25860486
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
高橋 遥一郎 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50640538)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 血液型 / 血液型亜型 / ABO / 転写調節 / エンハンサー |
Research Abstract |
本研究の目的は、1、ABO遺伝子が転写ファクトリーにおいて近傍遺伝子と協調的に転写される機序の解明、2、ABO遺伝子特異的な発現機序等の特定、を通じて、3、亜型を含む血液型の正確な遺伝子診断を可能とすること、である。また、平成25年度の研究実施計画としては、赤白血病細胞を対象として、ABO遺伝子近傍のエンハンサー領域である+41.0kb siteの働きを解明すると共に、血液型亜型における変異を検索し、その検出法を開発することであった。 これらの目的及び計画に対し、以下の実績を得た。1、41.0kb siteの他に、ABO遺伝子近傍のエンハンサー領域の候補とされる領域、+36.0kb siteを同定した。またこの領域は、エンハンサー活性を持つと共にプロモーター活性も持つことが実験的に示された。今後はABO遺伝子や他の近傍遺伝子に対する転写調節機序を詳細に解析していくことが必要となる。2、血液型亜型の一つであるAm型において、その発現に影響を与える遺伝子変異を発見した。具体的には、既に赤血球系特異的なエンハンサー領域であることが示されている+5.8kb site内にAm型に特異的な遺伝子変異(欠損)が発見され、さらにその変異は転写因子RUNX1の結合に影響を与えることが示された。これらの発見及び研究結果により、ABO遺伝子特異的な発現機序ないし転写調節機序の一部を解明することが出来た。また、亜型を含む血液型の遺伝子診断を部分的に可能にすることが出来、将来の輸血・移植医療に応用されることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
血液型亜型であるAm型について新たな知見を得ることが出来、またその結果は血液型の遺伝子診断に応用されうる有意義なものであったため。さらに、ABO遺伝子の発現調節に転写因子RUNX1が関与することを指摘でき、今度の輸血・移植医療への応用が期待されるため。ただし、他の近傍遺伝子との関わりについての解明は、現在進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
血液型亜型に関しては引き続き、転写調節領域を含む範囲の遺伝子変異を検索する。変異が見つかった場合は、その意義やシグナルを実験的に証明する。 ABO遺伝子と他の遺伝子との関わりについては、当初の研究計画に加え、遺伝子編集技術を用いた培養細胞に対するノックアウト実験等を通じて、ゲノムワイドな影響の解明を試みる。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Mutation of the GATA site in the erythroid cell-specific regulatory element of the ABO gene in a Bm subgroup individual.2013
Author(s)
Nakajima T, Sano R, Takahashi Y, Kubo R, Takahashi K, Kominato Y, Tsukada J, Takeshita H, Yasuda T, Uchikawa M, Isa K, Ogasawara K.
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Journal Title
Transfusion
Volume: 53
Pages: 2917-2927
DOI
Peer Reviewed
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