2013 Fiscal Year Research-status Report
ストレス性の胸腺退縮剖検例における胸腺ストローマ細胞の分子生物学的な変化
Project/Area Number |
25860495
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
阿部 俊太郎 大阪医科大学, 医学部, 助教 (80335116)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 胸腺 / 胸腺ストローマ細胞 / ストレス / インターロイキン / 児童虐待 |
Research Abstract |
ヒト試料を用いた実験に先駆けてラットを用いた動物実験を実施した。雄のSD系ラットに絶食ストレスを負荷した後,屠殺して胸腺,副腎,腎臓,肝臓,脳,脳下垂体,腸間膜リンパ節,心臓血などの試料を取得し,心臓血中のレプチンとIL-7の定量を実施した。IL-1β,IL-6,IL-10などについては今後定量を実施する予定である。各種臓器についてパラフィン包埋標本ならびに凍結切片を作成し,免疫染色を用いてレプチンレセプター,IL-7レセプターなどについて染色を実施しているが,IL-7レセプターについては現在良好な染色結果を得られていないので,実験条件などについて検討が必要である。実験は絶食ストレスを負荷しないコントロール群についても同様に実験を行っている。 得られた一部の実験結果について解析を実施したところ,血中レプチン濃度については明らかな差を認めたが,今回のストレス源が絶食ストレスであったことから,今後拘束ストレスなどの別種のストレスを負荷して結果を検討する必要がある。今回の実験は臓器の比較的大きなラットを用いて行ったが,実験で使用可能なリソースが豊富なマウスを用いた実験を追加実施する必要があると考えられた。 法医解剖事例からのヒト採取試料について,研究機関内の倫理委員会に諮り,血液から血清中のIL-1β,IL-6,IL-10,レプチンなどについて定量を実施した。しかしながら死後変化による影響が不明であるため,コントロール例について死後経過時間の影響などの基礎的な解析を行っている段階である。次年度には死因やストレス強度との関連について着手できると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初平成25年度中に動物実験を終了し,平成26年度はヒトのサンプルに着手する予定であったが,十分な結果を得られていない一部の実験については実験条件の検討が必要である。また,予定していたmRNAの定量が実施できておらず,この点でもやや遅れているとせざるを得ない。動物実験については当初予定のラットに加えマウスの実験を追加する必要があると考えている。実験動物としての各種リソースが豊富なマウスを用いた解析は仮説の立証に必要なデータをより詳細に提供できると考えている。 また,ヒトのサンプルについては基礎的な実験・解析に留まっている。しかし,遅れについては十分に対応可能な範囲内にあり,実験計画の大幅な変更は必要ないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
動物実験で取得した胸腺サンプルについてグルココルチコイドレセプターmRNAの定量を実施,免疫染色によるグルココルチコイドレセプターの発現状況を可視化して観察する。結果に応じてリンパ節,脾臓などのリンパ組織に同様の解析を行う。今回,胸腺のストローマ細胞を選択的に取得するにあたり共用の実験施設のレーザーマイクロダイセクション装置が新しい機材に入れ替えられたので,これを用いて実験を行う予定である。より正確な目的部位の採取,大量サンプルの迅速処理などが可能となっている。血液試料からはIL-1β,IL-6,IL-10などについては定量を実施する。また免疫染色ではIL-7レセプターについて十分な結果が得られていないので,実験条件の検討などを行う。 法医剖検例についての情報収集はおおむね終了しているので,これらの情報に基づいて,剖検試料についての解析に着手する。免疫染色をグルココルチコイドレセプター,レプチンレセプターについて染色を行い,結果を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験計画にやや遅れが生じたため。特に消耗品費の必要なmRNAの発現定量,サザンブロットなどの手法を用いた実験への着手が不十分であることから,影響があったと考えられる。 動物実験についてサンプルの取得は済んでいることから,今後mRNA発現定量,サザンブロットなどの実験を実施する予定である。これらの実験では試薬・器具などで多くの費用が必要になると考えられる。また,グルココルチコイドレセプターmRNAの定量,免疫染色によるグルココルチコイドレセプターの発現状況を可視化して観察し,結果に応じてリンパ節,脾臓などのリンパ組織に同様の解析を行う。これらの実験でも物品費を使用する。また免疫染色ではIL-7レセプターについて十分な結果が得られていないので,実験条件の検討などを行う。動物実験については当初予定のラットに加えマウスの実験を追加する必要があると考えている。 今後の研究発表,打ち合わせなどで旅費が,論文作成などでその他の費用が必要になると考えている。
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