2013 Fiscal Year Research-status Report
五苓散によるアクアポリン2発現調節機序及び末梢性浮腫改善機序の解明
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25860497
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
条 美智子 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 助教 (80432110)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 五苓散 / 浮腫 / 糖尿病 / アクアポリンタンパク質 |
Research Abstract |
Zucker Fatty ラットにピオグリタゾン(P群)を経口投与し、併せて0.5%および1%に調製した五苓散エキス粉末含有飼料(0.5%あるいは1%五苓散群)、フロセミド(PF)を4週間および8週間投与した。また、正常対照群をC群とする。8週間投与では、0.5%及び1%五苓散群ではP群に比較して血中尿素窒素が減少傾向を示した。五苓散群の飲水量および尿量はP群およびPF群において、有意な差は認められなかったが、尿浸透圧および尿中Na排泄量は有意に増加した。また、P群の腎皮質におけるAQP1~3タンパク質発現量はC群に比較して有意に増加し、五苓散投与により有意に減少した。PF群の腎髄質内層におけるAQP1および腎髄質外層のAQP3タンパク質発現量はP群に比較して有意に増加し、五苓散投与により有意に減少した。五苓散は腎機能を悪化させることなく、ピオグリタゾン投与によるAQPsタンパク質発現を正常化し、ピオグリタゾンに起因する浮腫に対して有用である可能性があると推測された。 同様にGKラットに4週間投与を行った結果、第一週目の飲水量は、0.5%および1%五苓散群では、P群およびスピロノラクトン(PS群)と比べて有意に減少し、さらに1%五苓散群ではC群と比較しても有意に減少していた。また尿量についても、第一週目に0.5%および1%五苓散群はPS群と比較して有意に減少していた。血糖値の経時的変化を検討した結果、第一週目では、PS群、0.5%および1%五苓散群でコントロールに比べて有意に減少し、3週目では0.5%および1%五苓散群でC群に比べて、有意に減少した。また、4週目では、C群に比べ、P群、PS群、0.5%および1%五苓散群において有意に減少した。このことより、血糖降下作用はピオグリタゾン単独投与より、五苓散を併用することにより増強されるのではないかと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、25年度に予定していたZucker Diabetic Fattyラットを用い薬物を8週間投与を行った動物実験については、体重、尿量、血清及び尿浸透圧、ヘマトクリット値、アディポネクチン、レプチン値、インスリン値の血清学的検査および尿中電解質濃度の変化、腎組織中のAQPsタンパク質およびNa+/K+-ATPaseタンパク質発現の検討を行い、計画は終了している。 Zucker Diabetic Fattyラットに薬物を4週間投与した実験については、血清学的検査まで終了してしるため、血清浸透圧及び尿浸透圧、血清電解質濃度及び尿中電解質濃度の変化、腎組織中のAQPsタンパク質およびNa+/K+-ATPaseタンパク質発現に五苓散が影響を及ぼすか否かについて検討する。 26年度に予定していたGKラットを用いた計画については、4週間の薬物投与が終了し、血清学的検査まで行っており、腎組織中のタンパク質発現量を検討する予定であえい、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
糖尿病治療において、新たにピオグリタゾンと漢方薬である五苓散の併用療法が新規に確立できれば、国民福祉に貢献することが可能であるので、末梢性浮腫に対する五苓散の薬理作用、作用機序について血液および尿を用いて研究を進める。 また、漢方薬である五苓散がピオグリタゾンに起因する末梢性浮腫を改善することが可能か否かを解明し、その効果機序に関する科学的な裏づけを示すことは重要な課題である。そのため、五苓散投与によるZucker Diabetic FattyラットとGKラットの効果の違いを、血液および尿、腎組織を用いて当初の計画に則って研究を推進する。 今回の研究ではピオグリタゾンの浮腫に対してフロセミドを用いているが、臨床でより用いられるスピロノラクトンをポジティブコントロールとして用いることとした。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究で用いているピオグリタゾンが計画時の見込み額と執行額は異なったため。 研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定とおりの計画を進めて行く。
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