2013 Fiscal Year Research-status Report
マクロファージの活性化を制御する天然化合物のガン免疫療法への応用
Project/Area Number |
25860501
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
藤原 章雄 熊本大学, 生命科学研究部, 助教 (70452886)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | マクロファージ / ガン治療 / 天然化合物 / STAT3 |
Research Abstract |
近年、マクロファージの活性化機構には、古典的活性化(M1)経路とオルタナティブ活性化(M2)経路が存在することが明らかとなってきた。このようなマクロファージの活性化の違いは、様々な疾患の病態形成や病態の消長と深く関連するため、マクロファージの活性化制御により疾病の予防や治療が可能であると考えられている。腫瘍組織においては、M2 マクロファージが腫瘍血管の形成促進に関与すると共に、免疫抑制分子を産生するため、抗腫瘍免疫を抑制することが知られている。一方、M1 マクロファージは抗腫瘍免疫を活性化することで、腫瘍の増殖を抑制することが知られているため、ガンにおいてはマクロファージの活性化状態を M2 から M1 に転換することができればガンの予防や治療への応用が期待できる。 本年度は、マクロファージの活性化状態を M2 から M1 に制御できる天然化合物である Onionin A および Garlicnin C(当研究室が確立した化合物スクリーニング系にて in vitro での有効性が明らかになった候補化合物)の腫瘍移植モデルマウスにおける有効性の検討を行った。具体的には、マウス骨肉腫 LM8 移植モデルマウスに、Onionin A および Garlicnin C を3週間経口投与したところコントロール群と比較して皮下腫瘍重量の有意な低下ならびに腫瘍の肺転移が有意に抑制された。また、Onionin A および Garlicnin C 投与群では、皮下腫瘍における pSTAT3 陽性細胞数の減少も認められたことから、これら化合物は in vitro だけではなく in vivo においても、マクロファージの STAT3 の活性化を抑制し、結果的にマクロファージの活性化を制御することで腫瘍の進展を抑制することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の実験計画における大きな目標としては、Onionin A および Garlicnin C の腫瘍移植モデルマウスにおける有効検証であった。本計画の進展度としては、Onionin A および Garlicnin C をマウス骨肉腫 LM8 移植モデルマウスに経口投与したところ皮下腫瘍重量の有意な低下ならびに腫瘍の肺転移の有意な抑制が認められたことから、本年度の計画の大部分は達成されたものと考えられる。 また、Onionin A および Garlicnin C 投与群では、皮下腫瘍における pSTAT3 陽性細胞数の減少も認められたことから、これら化合物は in vitro だけではなく in vivo においても、マクロファージの STAT3 の活性化を抑制し、結果的にマクロファージの活性化を制御することで腫瘍の進展を抑制することが明らかとなった。さらに、Onionin A および Garlicnin C 投与群では、皮下腫瘍における CD4 陽性ならびに CD8 陽性 T リンパ球の増加も認められたことから、これら化合物はマクロファージのみならず他の免疫関連細胞に対しても作用していることが示唆された。 ゆえに、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、当初の予定通り、候補化合物(Onionin A、Garlicnin C および Corosolic acid ) のリンパ球、NK 細胞、 MDSC に対する作用の検討を行う。具体的には、皮下腫瘍の組織切片を用いて、リンパ球マーカー (CD3, CD4, CD8)、NK 細胞マーカー(NK1.1)の免疫染色を行うことで評価する。また、腫瘍組織内において免疫抑制に強く関与する MDSC や抑制 T 細胞に対する作用はフローサイトメトリーで数を測定することで評価する。また、脾臓から単離した MDSC の遺伝子発現を realtime PCR で解析することで、天然化合物の MDSC に対する作用について評価する。さらに、 天然化合物を投与した腫瘍移植モデルマウスの脾臓から単離した MDSC と正常マウスの脾臓から単離した T cell を共培養し、MDSC による T cell の活性化 抑制作用に対する天然化合物の効果を評価する。また、候補化合物と既知抗ガン剤との併用効果の検討を行う。具体的には、腫瘍移植モデルマウスに既存の抗ガン剤と候補化合物(Onionin A 、Garlicnin A 、Corosolic acid)を併用投与し、コントロール群との腫瘍の発育・ 転移および、マウスの生存率を比較評価する。
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Research Products
(19 results)
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[Journal Article] Manzamine A, a marine-derived alkaloid, inhibits accumulation of cholesterol ester in macrophages and suppresses hyperlipidemia and atherosclerosis in vivo.2013
Author(s)
Keisuke Eguchi, Yukio Fujiwara, Akinori Hayashida, Hasita Horlad, Hikaru Kato, Henki Rotinsulu, Fitje Losung, Remy E.P. Mangindaan, Nicole J. de Voogd, Motohiro Takeya, Sachiko Tsukamoto
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Journal Title
Bioorganic & Medicinal Chemistry
Volume: 21
Pages: 3831-3838
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Cyclic Sulfoxides Garlicnins B2, B3, B4, C2, and C3 from Allium sativum.2013
Author(s)
Toshihiro Nohara, Yukio Fujiwara, Tsuyoshi Ikeda, Kohtaro Murakami, Masateru Ono, Daisuke Nakano, Junei Kinjo
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Journal Title
Chemical and Pharmaceutical Bulletin
Volume: 61
Pages: 695-699
DOI
Peer Reviewed
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