2013 Fiscal Year Research-status Report
慢性偽性腸閉塞症に対する新たな診断モダリティーの確立および病態解明
Project/Area Number |
25860503
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
大久保 秀則 横浜市立大学, 附属病院, 指導診療医 (70622588)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | シネMRI / 難治性疾患 |
Research Abstract |
慢性偽性腸閉塞(CIPO)は生涯にわたりそのQOLを低下させる重篤な難治性疾患であるにもかかわらず、疾患認知度が低く正確な診断がつかないまま不適切な治療が繰り返される症例も多い。我々は世界で初めて診断基準を作成し、その妥当性を報告してきたが、本疾患の腸管蠕動をダイナミックに視覚化しうるモダリティの開発が急務であった。本研究は、非侵襲的で放射線被曝の伴わない「シネMRI」の新たな腸管蠕動評価方法としての妥当性を検討し、最終的には従来にはない「直接的に」腸管蠕動異常を評価できる新たな診断モダリティーとしての確立を目的とするものである。 平成25年度は東海大学工学部医用生体工学科 高原太郎教授との協力体制のもと1.5 Tesla system , b-TFE sequenceという撮影条件を考案し、シネMRIを施行した。CIPO患者12名、対照として健常者12名、類似症状を有するIBS患者12名をエントリーした。この結果、CIPO患者の腸管径は健常者やIBS患者と比べて有意に拡張し、逆に収縮率は有意に低下していた。これにより、シネMRIはCIPOの腸管蠕動低下を明瞭・視覚的かつ定量的に描出できる新たなモダリティであることが示され、CIPOの診断ツールとしての有用性が証明された。以上の結果は論文化し、American journal of Gastroenterology 誌にアクセプトされた。 Ohkubo H, et al. Assessment of small bowel motility in patients with chronic intestinal pseudo-obstruction using cine-MRI. Am J Gastroenterol. 108(7): 1130-9. 2013
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
全小腸をダイナミックかつ再現性を持って何度でも評価できる「シネMRI」を、難治性かつ重篤な当該疾患の新たな診断モダリティとして確立することを平成25年度の最大の目標としていた。前述のように、厚労省診断基準を満たすCIPO患者、RomeIII基準を満たすIBS患者、健常者に対してそれぞれシネMRIを施行し、CIPOの小腸蠕動評価に対するシネMRIの有用性を証明することができた。これによりシネMRIは新たなCIPO診断ツールとなりうることが示されたと言える。 上記の結果は論文化し、消化器病学分野において一流雑誌であるThe American Journal of Gastroenterology 誌にアクセプトされた。 Ohkubo H, et al. Assessment of small bowel motility in patients with chronic intestinal pseudo-obstruction using cine-MRI. Am J Gastroenterol. 108(7): 1130-9. 2013
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Strategy for Future Research Activity |
本疾患は、患者のQOLを大きく損ない時に致命的となりうる重篤な難治性疾患である。しかし極めて稀少疾患であるため十分な疾患データベースがなく、また病態解明もほとんどなされていない。シネMRIのCIPO蠕動評価に対する有用性が証明された後は、より大規模に全国より症例を集積し、シネMRIにより得られた情報をデータベース化する。手術標本がある症例に対しては病理学的所見(筋原性、神経原性、カハール間質細胞性)とシネMRIでの蠕動パターンの関連も検証することで、暗黒とされてきた本疾患の病態解明を目指す。また、病勢評価、治療前後での比較、手術適応検討や類似症状を持つ機能性疾患(IBS等)との鑑別など、様々な臨床応用を通じて新たな蠕動評価モダリティとしての確立を目指す。
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Research Products
(3 results)