2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25860507
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
見坂 恒明 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90437492)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 誤嚥性肺炎 / 意識レベル / 経口摂取 |
Outline of Annual Research Achievements |
誤嚥性肺炎患者の経口摂取開始の目安について、全国アンケートを行った。2490施設を対象に質問票を郵送し、350施設より有効回答を得た(回収率14.1%)。結果をクラスター分析したところ、第1クラスターは、肺炎の臨床的安定に含まれている因子が多く、現在の肺炎の病状・病勢に基づく項目と言える。第2クラスターは、患者や家族の意向、メディカルスタッフの意向など、非客観的な項目が多かった。これらはperformance statusも含めた、肺炎病状とは別個に、患者のADL等のもともとの状態の要因も関与するものと考えられる。本研究の要旨は第6回日本プライマリ・ケア連合学会学術集会で発表し、Geriatrics & Gerontology International誌にacceptされた。 アンケートで、誤嚥性肺炎患者の経口摂取開始の目安とされている項目で定量化できるものについて、それが入院中の再誤嚥に関連するかを検討するために次に述べる研究を行った。 自治医科大学附属病院、公立豊岡病院、湯沢町保健医療センターに誤嚥性肺炎と診断された患者を後方視的に研究対象とした。誤嚥性肺炎患者415人のうち、経口摂取が開始できた390人を対象に、入院中の再誤嚥に関連する要因を検討した。多変量解析では、嚥下評価を行ってから食事摂取を開始したこと、食事開始時の意識レベル低下(GCS14点以下)、胸部X線写真で一側肺の3分の2以上の陰影の広がりが入院中の再誤嚥に関連する有意な要因であり、オッズ比はそれぞれ5.2、3.2、 2.3であった。食事開始時には特に意識レベルに注意する必要があるが、他の肺炎の臨床的安定に関わる項目は、入院中の再誤嚥とは有意な関連はなかった。本研究結果は、現在英文誌に投稿中である。
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