2013 Fiscal Year Research-status Report
慢性腸炎による線維化を改善する新規腸内細菌由来活性物質の同定とその治療効果の解析
Project/Area Number |
25860516
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
嘉島 伸 旭川医科大学, 医学部, 助教 (10548655)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | プロバイオティクス |
Research Abstract |
Lactobacillus brevis 由来の生理活性物質であるポリリン酸はマウス慢性腸炎モデルにおいて,腸管短縮の改善,組織学的線維化および炎症の改善作用があることを明らかにした.その機序として,炎症により過剰発現したTGF-β1, Smad 4 ,CTGFなどの線維化関連分子の産生抑制および炎症性サイトカイン(インターロイキン1β, TNFα ,インターフェロンγの発現抑制が関与していると考えられた. 腸管組織を構成する,上皮細胞,単球系細胞,線維芽細胞を用いて,ポリリン酸の標的細胞を検討した結果,ポリリン酸は腸管上皮からのTGF-β1の発現を抑制することで,TGF-β1刺激による腸管線維芽細胞からのコラーゲン産生を抑制することが明らかになった.また,腸管上皮細胞に対してはインターロイキン1βの発現抑制作用を,マクロファージに対してはTNFαの発現抑制作用を発揮することが明らかになり,標的細胞によって異なる作用をもつことが示された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腸内細菌由来の生理活性物質であるポリリン酸が、DSS慢性腸炎モデルでみられる腸管の線維化を有意に改善させ,さらに慢性炎症をも改善させることが明らかになった.またポリリン酸が腸管組織のどのような細胞を標的とするかについて,各種細胞株を用いて検討したところ,腸管線維芽細胞・マクロファージへの抗線維化作用は見られず,腸管上皮細胞由来のTGF-β1産生を抑制することにより,抗線維化作用を発揮することが明らかとなった.また腸管上皮細胞においてはIL-1βの抑制,マクロファージにおいてはTNFαの抑制といった細胞によって異なる抗炎症作用を有することがあきらかとなった.
|
Strategy for Future Research Activity |
腸上皮細胞膜の各種受容体や輸送体、接着分子に対するsiRNAをHVJ envelopeを用いて慢性腸炎マウスの腹腔内へ導入し、腸管上皮におけるポリリン酸の認識に関連する分子を絞り込み,さらにトランスクリプトーム解析を行い,ポリリン酸の認識に関連する分子の発現抑制による炎症関連因子、線維化関連因子の発現変化を検討する.その上で,これら上皮細胞膜分子の遺伝子欠損マウスを用いて同様の解析を行い、ポリリン酸の認識機構を解明する。
|