2013 Fiscal Year Research-status Report
炎症に伴うmicroRNA機能不全を一因とした胃癌・肝癌の病態解明と制御法の開発
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25860520
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉川 剛史 東京大学, 医学部附属病院, 特任臨床医 (40631685)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 炎症性発癌 / microRNA / 肝癌 |
Research Abstract |
「炎症性ストレスによるmicroRNA機能異常が一因となる慢性炎症からの消化器発癌」と「その予防法」についての研究を進めている。申請の時点では大腸癌についての解析を行っており、現在肝癌についての研究を同時に進めている。 まずは大腸についての知見を論文化するべく、以前探索したmicroRNAの機能を増強する薬剤の作用機序についての分子機構の解析を進め、現在論文を投稿中である。その薬剤はPAIP2と呼ばれるpoly A binding proteinに相互作用する分子の発現を増やしてその機能を抑制し、microRNAによるpolyAの短縮を増強する作用がある。 さらに大腸における慢性炎症からの発癌の一因としてmicroRNA機能異常が関与し、さらに上記薬剤で腫瘍形成が抑制されることを既に見出しており、炎症性発癌におけるmicroRNA機能異常についても論文作成するべく、炎症に伴うmicroRNA機能異常の原因についてさらに研究を進めている。 肝癌の研究として慢性炎症に続発する肝発癌モデルには、Mdr2ノックアウトマウスとSTAMマウスを用いている。Mdr2ノックアウトマウスは、肝細胞内に胆汁うっ態が起こり慢性的に肝臓に炎症が惹起され、その結果 4-5カ月ほどで線維化を伴う肝発癌を見る。STAMマウスは生後2日目にストレプトゾトシンを投与しインスリン抵抗性を惹起させ、その後高脂肪食を摂取させることによりNASHから肝発癌を生じる。現在マウスの数を増やしており、コントロールと上記薬剤投与群で大腸同様に発癌抑制が認められるか確認している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まずは「炎症性ストレスによるmicroRNA機能異常が一因となる慢性炎症からの消化器発癌」と「その予防法」についての大腸の知見を論文化すべく全力を注いでいる。昨年度に先行して大腸においてDicerがヘテロでのみ発癌性を示すという内容の論文を出している。 肝癌に関してはMdr2ノックアウトマウスとSTAMマウスにて上記薬剤による発癌抑制を確認するべく実験を進めている。マウスの交配状況があまりよくなかったため、まだ症例数が少ないが、現在は交配は順調に進んでおり、今後は順調に進めることができると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
microRNA機能を増強する薬剤による炎症性発癌の予防効果を、慢性肝炎からの発癌でも検証していき、さらに慢性胃炎からの発癌に応用していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
肝癌に関してMdr2ノックアウトマウスとSTAMマウスにてmicroRNAの機能を増強させる薬剤による発癌抑制を確認するべく実験を進めている。マウスの交配状況があまりよくなかったため、マウスの維持費が予想外に低くなり、昨年度の予定額を使い切るまでは至らなかった。現在は交配は順調に進んでいるため、今後は順調に進むものと考えられる。 すべて物品の購入費として使用する。マウスの維持費、野生型B6マウスの購入、DNAの抽出やPCRなどの試薬の購入、免疫染色のための組織標本の作製、抗体などの購入費として使用する。
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