2014 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質チロシンフォスファターゼShp2による炎症制御機構の解明
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25860526
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
長田 直人 金沢大学, 脳・肝インターフェースメディシン研究センター, 特任助教 (70456408)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | チロシンフォスファターゼ / 脂肪肝炎 / 過栄養 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、高脂肪食や運動習慣の欠如によってもたらされる過栄養状態を背景として、脂肪肝炎(Non-alcoholic steatohepatitis, NASH)が急増している。NASHは、原因不明の肝硬変や肝臓がんの主要因であると考えられている。本研究の目的は、過栄養状態によってその発現が亢進するSrc homology phosphatase 2 (Shp2)が脂肪肝炎の基盤病態である肝臓の脂肪蓄積と炎症の誘導・維持をいかに制御しているかを明らかにすることである。 これまでに、1)肝臓特異的Shp2欠損マウス(Alb-cre:Shp2flox/flox)を作製し、コリン・メチオニン減量飼料(CDAA飼料)による脂肪肝炎に対する影響を検討した。2)同腹仔の対照マウス(Shp2flox/flox)と比較して、肝臓特異的Shp2欠損マウスはCDAA飼料によってもたらされる肝臓の脂肪蓄積と炎症細胞の浸潤が著明に減少し、コラーゲン線維の蓄積も軽減されていることを新たに見出した。また、この改善効果の背景には、Shp2遺伝子欠損による肝臓インスリンシグナル伝達の亢進が関与する可能性を見出した。さらに、3)Shp2阻害剤を4週間に渡り投与したころ、CDAA飼料による脂肪肝炎を一部ではあるものの改善することが出来た。従って、Shp2が脂肪肝炎の新規の治療標的分子となりうる所見が本研究によって得られたと考える。
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