2014 Fiscal Year Annual Research Report
次世代シークエンサーを用いた膵疾患診断および治療効果予測の検討
Project/Area Number |
25860527
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
高野 伸一 山梨大学, 総合研究部, 助教 (80377506)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 膵管内乳頭粘液性腫瘍 / 膵癌 / GNAS変異 / 膵液 |
Outline of Annual Research Achievements |
膵癌や膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)をはじめとする膵腫瘍は、十分な組織検体を術前に得ることが容易でなく、診断・治療ともに困難な疾患である。一方で遺伝子変異の検出には従来多くのDNA量を用いてごく一部の領域の変異しか検出できず、また高コストかつ結果が得られるまで長時間を要した。そのため、微量かつ腫瘍以外の細胞成分を含む臨床検体からいくつもの癌関連遺伝子変異を検出することは現実的でなかったが、最近開発された次世代シークエンサーでは、わずかなDNA量で一度に多くの癌関連遺伝子変異を高感度に検出することが可能となった。 以上の背景から、臨床教室であるがゆえに得ることが可能な、高精度な診療から得た臨床情報と臨床検体を用い、次世代シークエンサーにより得られた遺伝子変異の臨床的意義解明を目的とし研究を推し進めた。その結果現在二つの知見が得られつつある。ひとつは膵癌の前癌病変ともいわれる膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)ではGNAS遺伝子変異が約40-70%の症例でみられることが知られているが、膵液を用いて得た遺伝子変異とわれわれの臨床情報と併せて解析した結果、膵管拡張の目立つ症例すなわち粘液が豊富なIPMNでGNAS変異がみられることが判明した。IPMNは病型により悪性度が異なり、われわれの知見が病型診断に有用な可能性が示唆された。二つ目は、近年切除不能な悪性腫瘍に対する様々な分子標的薬が登場しているが、すべての症例に有用というわけでないことから治療効果判定が事前になされることが期待される。われわれは膵神経内分泌腫瘍で使用されるmTOR阻害剤の有効性を、次世代シークエンサーによる腫瘍変異遺伝子との関連を解析中である。
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