2014 Fiscal Year Annual Research Report
膵筋線維芽細胞におけるWntシグナル経路と膵線維化進展の相互作用についての検討
Project/Area Number |
25860531
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
稲富 理 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (70530351)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | Wnt / 膵筋線維芽細胞 / 膵線維化 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性膵炎は進行性・難治性の疾患であり、その中心的病態である膵線維化の進展機序は未だ不明である。本研究は膵組織のリモデリングに重要な役割を担う筋線維芽細胞(活性化星細胞)におけるWntシグナルを介した膵線維化進展機序の解明を追求するものである。今回の検討では、ヒト膵組織から単離培養した膵筋線維芽細胞およびセルレイン誘導慢性膵炎モデルマウスの線維化領域、非線維化領域の組織検体を用いて解析を行った。Micro array assayによる網羅的解析では培養膵筋線維芽細胞において様々な炎症性サイトカインの中でも特にIL-1βがWnt2およびWnt5aの発現を強く誘導した一方で、IL-1βによるWnt4の発現は抑制された。またTGF-βの刺激によりWnt4,9,11の発現が誘導された。Real time-PCR法ではこれらの発現誘導が時間依存性、濃度依存性に認められた。また、IL-1βによりWntの核内転写因子であるRUNXの発現が誘導された一方でMID-1発現は有意に抑制された。セルレイン誘導慢性膵炎モデルマウスの線維化領域ではWnt4,Wnt5aの発現が共に亢進していた。これらの結果より膵慢性炎症の場における様々なサイトカインとWnt signalingの関係性が明らかとなり、複数の転写因子を介した相互作用による線維化進展への関与が示唆された。
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