2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25860533
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
神田 啓太郎 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 医員 (30609061)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | NRDc / TNF-α / TACE |
Research Abstract |
本研究は、炎症性発癌や多段階発癌におけるNRDcの役割を検討することを目的とする。これまでの検討にて研究代表者は、胃癌や大腸癌の複数の細胞株において、NRDcをknock downすることで著明に細胞増殖が抑制されることを確認していた。 1,当初の実験計画通り、マウス実験腸発癌モデルでは、驚くべきことにNRDc-/-マウスで炎症性発癌ならびに多段階発癌モデルのどちらにおいてもほぼ完全に近い程度に発癌が抑えられていた。また腫瘍における細胞増殖はNRDc-/-マウスにおいて抑制されており、炎症細胞浸潤も減少していた。我々は胃癌の細胞株にて確認したNRDcはTACEの活性を増強しTNF-αのシェディングを促進する、このメカニズムに関して同様にマウスモデルでも検討を行った。予想通り、NRDc-/-マウスではTACEの活性は抑制され、TNF-αの分泌も低下しており、腫瘍の増殖抑制の一つの要因と考えられた。NRDcは近年、シェディング機構の調整以外にも核内にて転写活性の制御を行っていることも報告されており、目下核内での働きについても解析中である。 2,臨床検体の解析ではNRDcは大腸癌患者の血清および癌組織で上昇していた。また、NRDcの発現量の差異は臨床病期との相関があることが分かった。現在、さらに炎症細胞浸潤の程度、腫瘍マーカー、癌抑制遺伝子p21との相関など解析中である。 3,ヒト大腸癌細胞株のxenograft増大も、抗NRDc中和抗体の投与により顕著に抑制された。これらの予備実験で得られた腫瘍抑制効果は、従来知られている様々なmoleculeのうちでも最大に近いものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NRDcの一つの機能としてシェディングの調節があるが、その点においては我々の予想通り、NRDc-/-マウスではTACEの活性は抑制され、TNF-αの分泌も低下しており、腫瘍の増殖抑制の一つの要因であることが確認された。26年度に予定していたシグナル解析の一部は終了しており、NRDcがNF-κBやstat3の活性化に関与していることは確認している。 そこで本研究で研究代表者は、①血清中NRDcの大腸癌バイオマーカーとしての意義、②NRDcの腫瘍抑制メカニズムの解析、③NRDcに対する中和抗体や、NRDcの未知のはたらきを抑制するsmall moleculeの探索などを通じて、近未来に実現性の高い大腸癌の治療法開発を目指し、引き続き更なる解析を行っていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の研究実施計画どおり、NRDcがTACEの活性を増強しTNF-αのシェディングを促進する、このメカニズムに関してWB、ELISA、免疫染色などを行い、より詳細に検討する。さらにその下流のNF-κBやstat3などのシグナルの活性化につき検討を深める。また近年、新たにNRDcはシェディング機構の調整以外にも核内にて転写活性の制御を行っていることも報告されている。現段階で我々はNRDcが癌細胞の核内に存在していることを確認しており、NRDcの核内での働きに注目して現在解析中である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度物品費の残額に関しては今年度の実験計画に必要な物品に組み込む予定です。マウスにおける結果自体は順調ですが、交配自体が難しいマウスのため、交配がやや遅れており、検体数を増やすことに苦慮しております。 また旅費に関しては今年度の学会参加に関しては自費で参加したため、次年度の海外の学会発表や参加の際に計上する予定です。 マウスの交配の遅れを取り戻しつつ、検体数の増加を目指しています。マウスの交配のケージや場所の確保のため次年度実験計画に必要な経費として計上予定です。
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Research Products
(2 results)