2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25860536
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木下 允 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10573222)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | アミノ酸 / 免疫細胞 / 制御性T細胞 |
Research Abstract |
全身免疫系の恒常性維持には、ある種の食餌成分が重要な働きをしていることが近年報告されており、特に宿主内に合成経路が存在しないものは、必須食餌成分として食餌からの摂取が必須である。本研究では、必須アミノ酸として知られる9種類のアミノ酸について、全身の免疫細胞に与える影響を解析してきた。 現在までに我々は食餌中必須アミノ酸は、過剰な炎症反応を抑制する働きを持つFoxp3陽性制御性T細胞の恒常性維持に重要な役割を担うことを明らかにした。必須アミノ酸欠損食を摂取したマウスでは、全身免疫系の一つである脾臓や腸管粘膜免疫固有脳叢において、Foxp3陽性制御性T細胞の数が著減し、またCTLA-4をはじめとする抑制機能に重要な分子群の発現低下を認めた。また、その結果、必須アミノ酸欠損食を摂取したマウスは薬剤誘発性腸炎に対する感受性が亢進し、有意にコントロール群と比べ生存率の低下を認めた。 このような必須アミノ酸を介したT細胞への影響は、制御性T細胞特異的であり、炎症性T細胞の代表である、IFN-gammmaもしくはIL-17産性T細胞には明らかな影響がみられなかった。このようなT細胞サブセットの特異性は、制御性T細胞に特異的に発現するアミノ酸トランスポーターに依存している可能性が示唆されている。また、必須アミノ酸欠損食を摂取したマウスでは、腸内細菌叢の構成に変化がみられた。必須アミノ酸欠損食の影響がアミノ酸による直接的影響なのか、腸内細菌叢を介したものであるか、今後の検討が必要である。必須アミノ酸はKi67を指標に解析を行ったところ、特にFoxp3陽性制御性T細胞の最近増殖を促す一方、Annexin V陽性率では差がみられず、細胞の生存維持にはあまり影響を与えないと考えられる。
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