2013 Fiscal Year Research-status Report
NASH病態におけるエンドトキシン-脂質代謝障害の検討
Project/Area Number |
25860550
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
今城 健人 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (30600192)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | NASH病態進展機序 / エンドトキシン / 脂質代謝 / 遊離脂肪酸 / 炎症性サイトカイン |
Research Abstract |
本研究では、我々が以前に報告したNASH病態進展機序における腸管由来エンドトキシン(ET)に対する肝臓での過剰応答により誘導される炎症性cytokineが肝内炎症を惹起するだけでなく、肝からの脂質排泄を障害することで肝内に遊離脂肪酸(FFA)の蓄積をきたし肝障害を進展させるという機序を解明することを目的としている。 (1)微量ETがNASH病態進展に関与するかを示す:12週間の高脂肪食飼育下wild type(WT)マウスに対し一回投与では肝障害が惹起されない量の超低量LPS(0.01mg/kg)を14日間腹腔内投与し肝障害が惹起されるかを検討したところ、PBSを投与した同マウスに比し有意に肝障害が増悪した。 (2)微量ETによるMTP抑制機序を解明する:高脂肪飼育下WTマウスに超低量LPSを一回投与し検討したところ、肝MTP発現を著明に低下させた。またIn vitroの検討により、肝細胞の細胞株であるHepG2細胞に大腸菌由来のLPS及び炎症性cytokineを添加後MTP発現を検討したところ、炎症性cytokine(TNFα、IL-6)添加によりMTP発現が低下するとともに細胞内脂肪蓄積を誘導した。 (3)肝MTP抑制によりNASH肝病態は進展するか:肝MTP低下が肝臓に及ぼす影響を検討するために、肝細胞特異的MTTPノックアウトマウス(Alb-Cre+/MTPfl/flマウス)を作成した。同マウスへ高脂肪食を28日間投与し肝障害が惹起されるかを検討した。コントロールとしてAlb-Cre-/MTPfl/flマウスを使用した。肝細胞特異的MTPノックアウトマウスは高脂肪飼育によりコントロールマウスと比し有意に肝障害が惹起された。 これらの検討により超低量の腸管由来エンドトキシンであっても肝MTPが抑制されることで肝脂質代謝障害が惹起され、脂肪肝炎病態が進展する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
提出した研究目的において、(3)微量ET単回投与による肝MTP抑制機序の解明について進めている。予定としては、マクロファージ特異的レプチン受容体KOマウス(LysM-cre Leprfl/flマウス)を作成し、高脂肪食で飼育後に微量ETを投与することにより、脂肪肝における肝MTPの著明な抑制が,我々の提唱したクッパー細胞(マクロファージに含まれる)におけるレプチンシグナルを介した過剰応答反応が関与しているのかを検討する。検討が遅れている理由として、上記マウスの作成が遅滞していることが挙げられる。また、(4)ヒトNASHにおける肝内FFA量の検討を行うことで我々の仮説が矛盾しないかを検討する予定としている。しかしながら、前向き検討のため肝生検検体が十分に集まっておらず、肝内FFA量の測定はできていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、LysM-cre Leprfl/flマウスの作成を急ぐこととする。しかしながら、LysM-cre Leprfl/flマウスは遺伝子改変マウスであり、今後も繁殖に時間がかかっている。代替実験として、レプチン受容体アンタゴニストを用いてクッパー細胞のレプチン受容体を抑制する実験を考慮している。 ヒトNASH患者の肝臓中のFFA濃度について、リポサーチシステムを用いてヒト肝生検検体中のFFA量を定量化することを検討している。得られたデータを,肝生検で得られた病理組織所見と比較検討し,非NASH患者よりもNASH患者でFFA濃度が増加しているかを検討する予定としている。
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