2013 Fiscal Year Research-status Report
飽和脂肪酸の肝内でのlipotoxcityとNASH病態への関与
Project/Area Number |
25860551
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
小川 祐二 横浜市立大学, 附属病院, 指導診療医 (20644959)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | NAFLD / NASH / 飽和脂肪酸 / パルミチン酸 / lipotoxicity |
Research Abstract |
NAFLD(Nonalchoholic Fatty liver Disease以下NAFLD)、NASH(Nonalchoholic steatohepatitis以下NASH)は肝硬変、肝臓癌に至る重要な疾患であるも病態は未だ不明である。今回の研究では、飽和脂肪酸が肝臓において炎症とアポトーシスというNASH病態の本幹部を引き起こすという仮説を立て、NAFLD、NASH病態における飽和脂肪酸の役割を明らかにすることとした。飽和脂肪酸は,全身の慢性炎症誘発、糖尿病悪化、動脈硬化進展などに関与し、これらはlipotoxicityと称されている。In vitro実験により、飽和脂肪酸が肝細胞のアポトーシスを引き起こすことが報告され、これはNAFLDの肝障害に関与すると考えられている。しかしながら、実際の患者では脂肪酸が直接肝障害を引き起こす証拠は依然乏しい。今回我々は、マウスを用いたin vivo実験で、人体の主要飽和脂肪酸であるパルミチン酸そのものが引き起こす肝臓におけるlipotoxicityについて検討を行った。 エチル化パルミチン酸、レシチン、グリセオールをソニーケーターで混和した後に、マウスの右頸静脈より挿入したカテーテルから投与した。開始時にはボーラス投与し、その後は1~24時間少量持続投与して血清ALT、肝臓におけるmRNA発現、病理学的検討、タンパク発現など各種分子生物学的項目を解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
野生型マウスの血清ALT=90前後(n=5)と上昇した。パルミチン酸投与群の肝臓mRNA解析においては単球遊走因子ccl2、好中球遊走因子cxcl2が有意に上昇した。また、M1マクロファージマーカーであるNOS2やCD11cの上昇も認めた。病理学的検討ではF4/80抗体、好中球エラスターゼ抗体、αSMA抗体陽性細胞数は有意に上昇した。肝臓内のリン酸化c-Jun発現の上昇を認めた。アポトーシスに関しては、mRNA解析でDR5発現の上昇を認め、病理学的検討ではcleaved caspase 3陽性細胞数の上昇を認めた。マイクロアレイ解析や小胞体ストレスに関する解析に関しては未だ検討を行っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
Clodronate-filled liposomesを用いて、体内のマクファージを除去した状態において炎症細胞浸潤の抑制が起こか検討する。また、飽和脂肪酸がリガンドとなるTLR4経路が炎症細胞浸潤に重要であるため、TLR4KOマウスを用いて炎症細胞浸潤が生じないことを証明する。さらに脂肪酸投与を長期化することで肝臓の線維化が起こるか検討を行っていく。
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