2014 Fiscal Year Research-status Report
肝臓線維化における疾患特異的腸内細菌と腸肝循環マクロファージのクロストーク
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25860559
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中本 伸宏 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (40383749)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 免疫寛容 / Toll様受容体 / 腸内細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は腸肝相関の観点から、特に腸内細菌やToll様受容体(TLR)を介した免疫応答・免疫寛容誘導の機序を明らかにした。C57BL/6マウスにCon Aの単回投与、反復投与を行い、免疫応答・免疫寛容を誘導した。急性肝障害時の腸内細菌、TLRの病態への関与を明らかにするためにCon A投与後経時的な、1.マクロファージ、樹状細胞におけるTLR アゴニスト刺激によるサイトカイン産生能、抗原提示能、2.T-RFLP法による糞便中の腸内細菌フローラの解析、3.抗生剤投与による免疫応答・免疫寛容の修飾の有無を検討した。初回投与1,3日後にCon Aを再投与した群では肝障害が増悪するのに対し、7日目以降に再投与した群では肝障害の程度は有意に軽減した。経時的な免疫学的検討の結果、初回投与1日後をピークに肝臓内にCCR9陽性CD11b陽性CD11c陰性マクロファージ分画が増加し、本細胞はTLR2,4,6,9刺激によるTNF-α, IFN-γ産生能、Th1誘導能を有していた。一方、初回投与7日後をピークに肝臓内にCCR9陰性CD11b陰性CD11c陽性cDC分画が増加し、本細胞はTLR9刺激によるIL-10,TGF-β産生能、制御性T細胞誘導能を有していた。興味深いことに、Con A初回投与直前のTLR9アンタゴニスト投与により肝障害は軽減するのに対し、Con A再投与直前の投与により肝障害は増悪し、TLR9の肝臓免疫応答・免疫寛容双方への関与が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は急性肝障害免疫応答、免疫寛容に関与する免疫細胞、および免疫学的機序の一端を明らかにすることができた。次年度以降の準備もすすめておりおおむね順調に遂行できている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は急性肝障害免疫応答・免疫寛容、肝線維化モデルマウスを用いて各病態に寄与する腸内細菌、免疫細胞との相互作用を明らかにする。またモデルマウスの検討と平行して急性肝炎、肝硬変患者の糞便検体を用いて、腸内細菌の網羅的解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
消耗品の一部が当該年度に納入できなかったため、少額であるが次年度使用分芽生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の消耗品使用に充てる予定である。
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