2014 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌微小環境構築における癌関連線維芽細胞TRPC6 の役割
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25860571
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
倉原 琳(海琳) 福岡大学, 医学部, 講師 (00341438)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | TRPC6 / myofibroblast / intestine / Ca2+ / TGF-β / fibrosis / tumor microenvironment / stress |
Outline of Annual Research Achievements |
癌の浸潤、転移、増殖などの特性は、癌の遺伝子異常のみならず、癌細胞のおかれた微小環境や間質細胞との相互作用に強く影響される。癌組織中にみられる線維芽細胞は、α-平滑筋アクチンを発現しており筋線維芽細胞の性質をもつ。線維化に伴う高率の癌化の病態生理の機序を精査するため、腸炎患者の線維化狭窄組織と非狭窄組織について線維化・癌化関連分子の発現を精査した。さまざまな物理化学刺激に応答するTRPC6チャネルは消化管の線維化狭窄組織で発現レベルが上昇していることが確認された。 培養細胞を用いた研究結果から、消化管筋線維芽細胞に発現するTRPC6チャネルが線維化サイトカインTGF-β1、IL-13、IL-17によって発現が促進され、平滑筋型アクチン(α-SMA)形成に重要であり、筋線維芽細胞からのコラーゲン・IL-10・IL-11産生を強く抑制することを報告してきた (Intestinal Myofibroblast TRPC6 Channel may Contribute to Stenotic Fibrosis in Crohn’s Disease (Inflammatory Bowel Diseases 2015 Mar;21(3):496-506.) TGF-β1線維化・癌化刺激に応答する筋線維芽細胞TRPC6チャネルは、Ca2+流入を介してTGF-β1の下流のリン酸化シグナルに対して抑制的に働き、TGFβ1下流の線維化・癌化シグナルに対して抑制的である。また細胞骨格ストレスファイバーや細胞接着分子N-カドヘリンの発現維持に関与している可能性が示唆され、線維化→癌微小環境構築に大きく影響すると考えられる。これらの結果から、消化管筋線維芽細胞による新しい線維化・癌化の制御機構の可能性が示唆された。
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