2014 Fiscal Year Annual Research Report
腸管上皮幹細胞の幹細胞機能維持における亜鉛トランスポーターの役割解明
Project/Area Number |
25860573
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
大橋 若奈 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (50381596)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 亜鉛 / 亜鉛トランスポーター / 腸管上皮細胞 / 幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
亜鉛トランスポーターは、生体内において必須微量元素である亜鉛の恒常性の制御を担っている。亜鉛トランスポーターファミリーは哺乳類においては20数種類が同定されているが、これら亜鉛トランスポーターが生体内の組織、細胞レベルにおいてどのような生物学的役割を担っているのか、その意義については不明な点が多い。本研究では、腸管上皮細胞における亜鉛トランスポーターの機能解析を行った。前年度までに絨毛領域に比較して陰窩領域において亜鉛トランスポーターの一つであるZip7が高く発現していること、さらに、腸管上皮細胞特異的にZip7を欠損するマウスの作成を行い、Zip7の欠損は腸管構造に乱れを引き起こすことを示してきた。 今年度は、腸陰窩におけるZip7の機能解析を行った。腸陰窩は腸管上皮細胞の活発な細胞増殖と系列細胞へと分化が行われていることから、Zip7の欠損により細胞増殖または分化が障害されている可能性が考えられた。増殖細胞マーカーであるKi67による免疫染色により腸陰窩の細胞増殖への影響を調べたところ、Zip7の欠損により腸陰窩での細胞増殖がほとんど消失していることがわかった。腸陰窩の増殖細胞は腸陰窩底部に存在する腸管上皮幹細胞から生み出されることから、Zip7の腸管上皮幹細胞への関与を調べた。腸管上皮幹細胞マーカーであるOlfm4のin situ hybridization解析によりZip7欠損腸陰窩ではOlfm4陽性の腸管上皮幹細胞が消失していることが明らかとなった。マイクロアレイ解析からZip7欠損により腸陰窩においては細胞内ストレス応答とアポトーシス遺伝子の発現が誘導されていることがわかった。以上のことから、腸陰窩においてZip7は、細胞内ストレス応答制御に関わり、腸管上皮幹細胞の維持を担い腸陰窩細胞の増殖を促すトランスポーターとして機能していることが明らかとなった
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