2013 Fiscal Year Research-status Report
血管石灰化抑制ホルモンとしてのFGF23の役割の解明
Project/Area Number |
25860582
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
中原 健裕 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (00599540)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | FGF23 |
Research Abstract |
慢性腎臓病(CKD)患者では心血管イベントの発症リスクが高く、心腎連関の病態解明は重要な課題である。CKD患者では血管石灰化が顕著となり、また血管石灰化は心血管イベントの予後予測因子である。しかし、血管石灰化におけるFGF23の病態生理学的な意義は不明である。そこで、本研究は、FGF23の血管における作用について解析することによって、心腎連関におけるFGF23の役割を検討した。これまでの検討で、培養血管平滑筋細胞においてFGF23が血管石灰化に抑制的に作用するオステオプロテジェリン(OPG)を誘導すること、また臨床データとして、血液中FGF23濃度とOPG濃度が強く相関すること等を示した。、また、FGF23 によるOPG 発現機序の検討を行った。OPG プロモータ領域を単離し、ルシフェラーゼレポーターベクターに導入し、レポーターコンストラクトを作成。それらを血管平滑筋細胞に導入し、FGF23 刺激による転写活性の変化を検討したところ、ルシフェラーゼ活性は2倍に活性化された。またFGF23と同時にKlothoを加えると、協調的にOPGmRNA発現量が増加することが明らかとなった。また、Klothoに対するsiRNAを用いるとOPGのmRNA発現量は低下した。これまでの検討結果をまとめると、FGF23はKlothoと協調的にOPGを誘導し、OPGが石灰化促進にかかわるRANKL/RANK結合を阻害することで、FGF23が血管石灰化に抑制的に働くのではないかと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一部予想とは異なる結果となったが、おおむね予想された実験結果が得られた。 ただし、FGF23の構造がヒトとマウス・ラットでは大幅に異なるためか、in vitroにおいて、RASMC(ラット血管平滑筋細胞)にFGF23を投与しても、血管石灰化を抑制する現象は認めなかった。そのため、予定していたマウス・ラットに対するin vivoでの実験は中止した。
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Strategy for Future Research Activity |
in vitroの検討はKlothoに対するsiRNAを用いて、OPGがタンパクレベルで抑制されたかELISAにて測定する予定である。in vivoに対する検討はマウス・ラットに対する実験を中止した為、現在のヒトの血清サンプル中のOPGなどの各因子の濃度をELISAを用いて測定する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
FGF23の構造がヒトと異なるマウス・ラットでは、ヒトのサンプルで認めたFGF23による血管石灰化の抑制を認めなかったため、マウス・ラットを用いたin vivoの実験を中止した為。 ヒトの血清サンプルの測定項目を増やし、検討を行う。そのためのELISAキット購入に充てる。
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