2014 Fiscal Year Research-status Report
分泌型ホスホリパーゼA2とその受容体を基盤とする心血管再生の機序解明と治療薬開発
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25860591
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
渡辺 一広 公益財団法人東京都医学総合研究所, 生体分子先端研究分野, 研究員 (50535549)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | PLA2受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスにおけるPLA2受容体発現のスクリーニングにより、マウスの線維芽細胞にPLA2受容体が発現していることを確認した。線維芽細胞に発現するPLA2受容体が心筋梗塞障害部位への線維芽細胞の遊走を促進することで心筋梗塞後の心破裂を抑制することを、昨年度の研究で見出した(Circulation Research. 2014;114:493-504)。 今年度は更にこのメカニズムの詳細な解析を行い、PLA2受容体のc-type lectin domainおよびfibronectin-like type II domainがコラーゲン依存的な遊走に関与することを明らかにした(FEBS Letter. 2015;589:829-835)。 一方で、PLA2受容体の血管新生における役割を調べるため、PLA2受容体KOマウスとWTマウスを用いて、Matrigel Plug Assay、Aortic Ring Assayおよび下肢虚血モデルにおける血管新生の程度を比較した。この3種類のモデルにおいてはKOとWTで血管新生の程度に有意な差は認められなかった。この3種類の実験系においては、リガンドとなるsPLA2の存在が十分でなかったためsPLA2-PLA2受容体システムの働きが検討できていないと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究において血管新生においてはin vivoおよびin vitroの実験においてsPLA2-PLA2受容体システムの血管新生における関与は認められなかった。 一方で、心筋梗塞後の壊死組織リモデリングの過程において線維が細胞に発現するPLA2受容体は組織の線維化を促すことで心破裂を抑制することを示した。また、その詳細なメカニズムとしてPLA2受容体のc-type lectin domainおよびfibronectin-like type II domainがコラーゲン依存的な遊走に関与することを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により、PLA2受容体は組織リモデリングに関与している可能性が高いと考えられる。既に確立しているマウス動脈瘤モデルを用いて、sPLA2-PLA2受容体システムの動脈リモデリングにおける役割を明らかにする。
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