2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25860602
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
田中 秀和 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20590342)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 心不全 / エネルギー代謝 / 酸化ストレス / メタボローム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
心臓はエネルギー基質の 70-90%を脂肪酸で賄っているが、心不全になるとβ酸化や脂肪酸利用が減少し、エネルギーが供給されなくなることにより心不全がさらに増悪する。本研究では心不全における代謝制御機構を解明すべく、下記の検討を行った。
1) 心房中隔欠損症患者においてガスクロマトグラフィー質量分析により血清中の水溶性代謝物プロファイリングを行ったところ、健常人と比べケトン体が有意に増加していた。ケトン体は絶食や飢餓などでグルコースが枯渇した際、主として肝臓での脂肪酸の酸化によりアセチルCoAを経て生成され、脳をはじめ心臓や骨格筋などにおいて代替エネルギーとして利用されることが知られている。一方、我々は心臓ではケトン体は代替エネルギーとしてのみならず、酸化ストレスに対し保護的に作用することを見出した。血中ケトン体の上昇は心不全における代償機構を反映していることが示唆された。
2) 同じく心房中隔欠損症患者の血中代謝物プロフイルより2-アミノ酪酸(2-AB)に注目し、病態における意義について検討した。まず我々は2-ABがシステイン合成経路の副産物として産生されることを明らかにした。システインはグルタチオンを構成するアミノ酸であり、酸化ストレス下でグルタチオンの合成が代償的に亢進した際に2-ABも増加することを新生児ラット培養心筋細胞での検討で明らかにした。さらにドキソルビシン誘発性心筋症モデルマウスにおいて2-ABが酸化ストレスを介した心筋障害を鋭敏に反映することを証明した。2-ABは生体におけるグルタチオンのホメオスターシスを反映しており、心不全の超早期予知法の確立に寄与することが期待される。
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