2014 Fiscal Year Annual Research Report
DPP-4阻害剤による動脈硬化退縮と内皮機能改善の臨床評価とそのメカニズムの検討
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25860610
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
松原 純一 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (80614669)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | DPP4阻害剤 / 抗動脈硬化 / 炎症 / GLP-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は以前、ApoE欠損マウスを用いた動物実験にてDPP4阻害剤(シタグリプチン)が動脈硬化進展抑制を認めることを示した。その他の報告も含め、既存の動脈硬化に対するDPP4阻害薬の作用を検証したものはない。そこで、既存の動脈硬化に対するDPP4阻害剤の効果を検討した。8週齢のApoE欠損マウスに高脂肪食を12週負荷したのち、DPP4阻害剤(シタグリプチン)投与群と非投与群の2群とし、さらに8週間治療を行い、上行大動脈から大腿動脈分岐部までの動脈硬化領域面積を評価した。高脂肪食のみ(非投与群)に比べて、DPP4阻害剤投与群にて動脈硬化領域は有意に減少した。 新たな抗動脈硬化メカニズムの検証として、AMP-activated protein kinase (AMPK)に着目した。上記のマウス大動脈にてAMPKの活性化をウェスタンブロットにて評価すると、DPP4阻害剤投与群にて有意に活性化していた。次に、培養細胞におけるAMPK活性化を介した抗炎症作用を検討した。ヒト培養マクロファージ、ヒト培養冠動脈内皮細胞において、DPP4阻害剤(シタグリプチン)はGLP-1の作用を増強することでAMPKの活性化を有意に増強した。ヒト培養マクロファージにおいて、DPP4阻害剤はGLP-1の作用を増強することで炎症マーカーであるInterleukin-1β発現を有意に抑制し、AMPK阻害剤であるCompound-Cを前投与することでその効果は減弱した。ヒト培養冠動脈内皮細胞においても、DPP4阻害剤はGLP-1の作用を増強することでintercellular adhesion molecule-1、vascular cell adhesion molecule-1の発現を有意に抑制し、Compound-Cを前投与することでその効果は減弱した。以上からDPP4阻害剤はマクロファージと血管内皮細胞においてAMPKを活性化し、炎症を抑制することが示された。 以上の結果から、DPP4阻害剤(シタグリプチン)は既存の動脈硬化に対しても進展抑制を示し、そのメカニズムにはAMPKを介した抗炎症作用が寄与していると考えられた。
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[Journal Article] Decreased plasma levels of active glucagon-like peptide-1 in coronary artery disease.2015
Author(s)
Eiichi Akiyama, Seigo Sugiyama, Junichi Matsubara, Hirofumi Kurokawa, Masaaki Konishi, Toshimitsu Nozaki, Keisuke Ohba, Koichiro Fujisue, Hirofumi Maeda, Kenji Sakamoto, Koichi Sugamura, Hitoshi Sumida, Hideaki Jinnouchi, Kentaro Sakamaki, Satoshi Morita, Kazuo Kimura, Satoshi Umemura, Hisao Ogawa
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Journal Title
J Am Coll Cardiol
Volume: 65
Pages: 754-755
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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