2014 Fiscal Year Annual Research Report
シグナル指向的リン酸化プロテオーム解析による動脈硬化発症の分子ネットワークの同定
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25860631
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
八木 寛陽 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 特任研究員 (60633691)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 動脈硬化症 / リン酸化プロテオーム / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、大動脈瘤や脳血管障害の主因となる動脈硬化発症の発症・進行に関わる分子ネットワークを明らかにし、その制御標的タンパク質を同定することを目的とする。動脈硬化性大動脈瘤のプロテオーム解析およびトランスクリプトーム解析から、oxLDLにより変動する既知の炎症性サイトカインの増加とともにTGFβシグナルに関わるタンパク質の変動が強く示唆された。TGFβシグナルによりリン酸化カスケードが影響を受けることが考えられるため、VSMC(ラット由来平滑筋培養細胞)を対照として、oxLDLおよびTGFβ刺激により変動するリン酸部位を同定し、疾患との関わりを解析した。 プロテオーム解析より、oxLDL刺激によるVCAMやICAMなど動脈硬化症と関連する既知のタンパク質増加が確かめられた。更に、HAMMOC法によるリン酸化プロテオーム解析から738個のリン酸化ペプチド(392タンパク質)を同定し、193ヶ所のリン酸化の変動を明らかにした。変動したリン酸化タンパク質は転写開始因子が多く、oxLDLによってタンパク質発現が活性化していることが示唆された。さらに、TNFαによって活性化し、タンパク質合成や炎症反応の促進に重要な役割を果たすタンパク質のリン酸化の増加を明らかにし、新規の標的タンパク質として疾患との関連の解析を開始した。 一方TGFβ刺激では、MAPKによるリン酸化モチーフを含む53ヶ所のリン酸化の変動を明らかにし、細胞骨格形成や細胞間相互作用に関わるタンパク質のリン酸化が多く変動しており、動脈硬化部位における組織構造異常が示唆された。 今後、リン酸化プロテオームから示唆されたタンパク質機能変動の知見を、ヒト大動脈瘤検体のプロテオーム解析・トランスクリプトーム解析結果に付加することで、動脈硬化症の発症・進行に関わるバイオマーカーや創薬標的の同定が期待される。
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Research Products
(2 results)