2014 Fiscal Year Annual Research Report
肺高血圧症の発症進展に寄与するthrombinシグナルの分子機構の解明
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25860632
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Research Institution | 独立行政法人国立病院機構岡山医療センター(臨床研究部) |
Principal Investigator |
小川 愛子 独立行政法人国立病院機構岡山医療センター(臨床研究部, その他部局等, その他 (40572748)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 肺高血圧 / 平滑筋細胞 / トロンビン / 細胞内カルシウム / シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は,肺高血圧症症例から単離培養した肺動脈血管平滑筋細胞を用いて,thrombinがストア作動性カルシウム流入による細胞内カルシウム濃度の上昇と細胞増殖を促進することを明らかにしている.そこで,thrombinの受容体であるprotease activated receptor 1 (PAR1)に対するアゴニストを投与したところ,thrombin刺激時と同様の効果が認められた.従って,thrombinの肺動脈平滑筋細胞に対する肺高血圧症進展効果は,PAR1を介することが示された. さらに,thrombinによる細胞内カルシウム上昇のメカニズムの検討を行ったところ,thrombinがp38MAPキナーゼを活性化するとともに,ストア作動性カルシウム流入の調節分子であるSTIM1とOrai1の発現を誘導することを見いだした.一方,p38阻害剤処理により,thrombin刺激に伴うSTIM1とOrai1の発現の増加が抑制されるとともに,ストア作動性カルシウム流入と細胞増殖が抑制された.また,thrombin刺激の阻害により,アポトーシスの指標となるcaspase-3の活性化が観察された. 以上の結果から,肺高血圧症の進展にはthrombin /PAR1とp38を介したシグナル伝達経路の活性化が重要な役割を担っており,上記のシグナリングが肺高血圧症の新たな治療標的となる可能性が示された.
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