2013 Fiscal Year Research-status Report
M-CSF誘発性リンパ管新生刺激因子VEGF-C,D産生の細胞内シグナル解析
Project/Area Number |
25860633
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小林 誠 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 助教 (10644809)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | M-CSF / VEGF-C / VEGF-D / リンパ管新生 / 骨格筋 |
Research Abstract |
リンパ管新生は主にリンパ管に発現するvascular endothelial growth factor receptor-3 (VEGFR3)にそのリガンドの VEGF-C,-D が結合して起きる。マクロファージや骨格筋等のVEGF-C,D産生が報告されているが、それらの産生を誘導してくるサイトカインは不明である。本研究はマクロファージ、骨格筋に何が刺激となってVEGF-C,-Dを産生させているのかその産生刺激サイトカインと細胞内シグナル伝達の解明を目的とする。我々は以前 macropahge colony-stimulating factor (M-CSF) が筋肉を刺激して血管新生因子のVEGF-Aを産生させ、血管新生を促進する事を示した。本研究でもM-CSFに着目し、マクロファージ、骨格筋でのVEGF-C,-D産性誘導を検討することを目的とした。 まずM-CSF投与マウスにおけるVEGF-C,-D の発現と局在組織の評価を行った。M-CSFをマウス腹腔内へ投与し3日、5日連続投与群を作成し肺、呼吸筋(横隔膜)、骨格筋(前脛骨筋)、心筋、小腸を取り出しmRNAを抽出しVEGF-C,-Dを定量的RT-PCRにかけ、in vivoでどの組織がM-CSF 誘導性にVEGF-C,Dを産生するのか評価した。その結果、骨格筋、呼吸筋、心筋においてはコントロールと比較して3日、5日連続投与群では有意なVEGF-C,-Dの上昇を認めたが、小腸(平滑筋)、肺ではみられなかった。これらの結果から、M-CSF投与により骨格筋を組成に含む組織からのVEGF-C,Dの産生が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定とは異なりin vivoの実験から進めている。その結果M-CSF投与マウスにおけるVEGF-C,とVEGF-Dの発現と局在組織の評価は順調に進行しており、本実験を同様の流れで行う。これらin vivoの実験結果を元にin vitroの実験で用いる細胞株を選択し計画通りに進めていくことができる。
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Strategy for Future Research Activity |
M-CSF投与マウスにおけるVEGF-C,-Dの発現と局在組織の評価を続ける(M-CSF投与1日、2日、4日群を作成しVEGF-C,-Dの上昇のpeakを確認する)。また結果から骨格筋よりのVEGF-C,D産生が示唆されたので、in vitroの実験を予定通り筋芽細胞株であるC2C12を無血清培地で分化させ、myotubeにしたのちM-CSFで刺激し、mRNAの発現量を定量的RT-PCRで、上清中のVEGF-C,-Dのタンパク量をELISA法で測定し培養液のみのコントロールと比較する。 以降は当初の計画通り、in virtoの実験としてM-CSF により誘導された VEGF-C, VEGF-D び培養リンパ管内皮細胞の増殖・細胞死・ tube formationにどのように影響するか、M-CSF により誘導された VEGF-C, VEGF-D の産生にはどのような細胞内シグナル伝達経路が関与しているのかの評価、In vivo の実験ではM-CSF をマウス誤嚥性肺炎モデルに投与し、リンパ管新生の亢進により病態が悪化するかを評価する実験を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25年度分の実験の続き、ならびH26年度に予定している実験を行うため。 実験に必要なマウス、抗体、実験道具の購入を行う。 また国内・国外の学会へ参加し研究内容を発表するとともに、関連分野の知見を深める。
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