2015 Fiscal Year Annual Research Report
EGFR-TKI によるEMTを介した肺癌の薬剤耐性獲得と肺線維化機序の解明
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25860643
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
田村 大介 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (80646597)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | DTPs / EGFR-TKI / がん幹細胞 / 細胞老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
分子標的治療薬の登場は非小細胞肺がんに劇的な効果をもたらしたが、根治は未だに難しく、その原因の一つとして、比較的急速に出現する薬剤耐性クローン(DTPs)の存在が考えられる。本研究の目的は上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異陽性非小細胞肺がんに対してEGFR-チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を投与してDTPsを誘導し、DTPsの構成要素を明らかとし、その治療法を確立することである。FACSを用いてDTPsを幹細胞の表面マーカーであるCD133の高低で分類したところ、CD133 highの細胞集団はがん幹細胞に関連したタンパク、マーカーの発現がみられ、腫瘍形成能も確認された。一方で、CD133 lowの細胞集団は細胞老化に関連したタンパク(pRb、γH2AX、p27、p21)を発現していることが明らかとなった。また、従来の抗がん剤(cisplatin、pemetrexed、docetaxel)等と比較してがん幹細胞の治療薬であるWithaferin Aや糖代謝阻害剤(2-DG、phloretin)はDTPsに対して抗腫瘍効果が高かった。そこで、EGFR-TKI誘導性のDTPsにおける糖代謝について解析を行ったところ、CD133 highの群に比較して、CD133 lowの群で、糖代謝関連酵素(AMPK)のリン酸化や、糖トランスポーター(Glut1、Glut3)、糖代謝酵素(Hk2)の発現が亢進していることが明らかとなった。さらに、PC9を皮下移植した担がんマウスモデルにEGFR-TKIを投与し、腫瘍が再増殖をしてきた段階で、Withaferin Aや糖代謝阻phloretinあるいはWithaferin Aとphloretinの両者をEGFR-TKIに追加して、治療効果を解析した。その結果、EGFR-TKI単剤と比較して、これらの薬剤の追加で高い抗腫瘍効果を認めた
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