2014 Fiscal Year Research-status Report
Ⅰ型肺胞上皮由来の新規特発性肺線維症バイオマーカーRAGEの開発と創薬の試み
Project/Area Number |
25860645
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岩本 博志 広島大学, 大学病院, 講師 (60457398)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 特発性肺線維症 / Ⅰ型肺胞上皮 / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
IPF患者65名と健常コントロール81名を対象とした検討ではIPF患者の血清sRAGE濃度は健常コントロール群と比較して有意に低下していた。ROC曲線を用いて算出した前述のカットオフを使用し、Kaplan-Meier曲線を用いて検討したところ、sRAGE低値群は高値群に比べて有意に予後不良であった。コックスハザードモデルを用いてIPFの予後と相関する因子を検討したところBMI, %VC, %DLCO, ステロイド単独療法もしくはステロイド+免疫抑制薬の併用療法の使用, KL-6, sRAGE で有意な相関を認めた。さらに多変量解析を用いて年齢、性別、BMI、喫煙歴 (pack years)、ステロイド単独療法もしくはステロイド+免疫抑制薬の併用療法の有無について補正をおこなった上でも、%VC, %DLCO , KL-6, sRAGE は予後と有意な相関を認めた。IPF患者における初診時の肺機能および経年的肺機能低下と血清sRAGE値とは有意な相関を認めなかった。次に血清RAGE値と2年間の急性増悪発症をKaplan-Meier曲線を用いて検討したところ、RAGE低値群は高値群に比べて有意に急性増悪を多く発症していた。RAGEのSNPについてはCOPDで多くの報告がなされているrs2060700について検討をおこなった。rs2060700のSNPは血中sRAGE値との相関をみとめたがIPFの疾患感受性や予後との相関を認めなかった。 さらに血中HMGB1についての検討を進めた。IPF患者における血中HMGB1はコントロール群と比較して有意に上昇していた。IPF患者における血中HMGB1高値は予後不良と関連しており、また経年的%VC低下の予測因子であった。 このように血中sRAGEの低下とそのリガンドであるHMGB1の上昇はIPFの病態と関連していることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
IPF患者における血中sRAGEとHMGB1の検討をおこない、これらの血中マーカーとIPFの病態との関連を明らかとした。RAGEのSNP、肺組織での免疫染色についても予定通り施行した。
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Strategy for Future Research Activity |
【肺のCT画像所見の検討】HRCT画像所見における線維化所見、網状影、すりガラス陰影をスコア化し、血中BALF中および肺組織のRAGEとの相関について検討する。 【RAGEと既存のバイオマーカーの関連の検討、RAGEリガンドとの関連の検討】RAGEと既存のバイオマーカーであるKL-6、SP-A、SP-Dなどについて、血中およびBALF中の濃度の比較や背景因子との相関関係の違いを検討し、相違点を明らかとする。 【RAGEのSNPと間質性肺炎の関連の検討】ゲノム血が保存されている日本人約700症例(間質性肺炎、肺癌、健常人)におけるrs2060700以外のRAGE遺伝子多型を全血よりゲノムDNAを抽出し,リアルタイムPCR system (Applied Biosystems PRISM 7500)を用いて検討する。間質性肺炎の疾患感受性、経年的肺機能低下、急性増悪ならびに予後と個々のRAGE SNPとの関連および連鎖解析をおこなう。
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Causes of Carryover |
SNP解析の追加についてH27年度予定としたため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H27年度にRAGE,HMGB1 SNPを追加で検討する
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Research Products
(2 results)
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[Presentation] Decreased circulatory receptor for advanced glycation end-products is associated with poorer survival in patients with idiopathic pulmonary fibrosis.2014
Author(s)
Iwamoto H, Horimasu Y, Nakashima T, Senoo T, Ohshimo S, Ishikawa N, Fujitaka K, Haruta Y, Murai H, Hattori N, Mazur W, Kohno N,
Organizer
European respiratory society
Place of Presentation
ドイツ ミュンヘン
Year and Date
2014-09-06 – 2014-09-10
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