2014 Fiscal Year Research-status Report
肺線維症診断における気管支肺胞洗浄液の電子顕微鏡下粉じん解析の有用性
Project/Area Number |
25860664
|
Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
城戸 貴志 産業医科大学, 医学部, 助教 (30389465)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 電子顕微鏡 / 肺線維症 / 間質性肺炎 / 石綿 / 職業性肺疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、間質性肺疾患の気管支肺胞洗浄液を石綿繊維を含めた各種粉じん及び鉱物の詳細な電子顕微鏡下解析を行い、診断における有用性や、各種粉じんの肺線維化病態への関与について検討することを目的とする。 現在までに、約140名程度の間質性肺疾患患者の気管支肺胞洗浄液を回収し、120名程度の解析が終了している。 このうち107名の解析に妥当と考えらる症例のデータを用いて検討した。107名のうち、職業性粉じん曝露歴を有する者が48名、有さないものが59名であった。職業性粉じん曝露を有する者48名のうち、石綿繊維が電子顕微鏡下の気管支肺胞洗浄液の解析で検出されたものは11名(22.9%)であり、これに対して職業性粉じん曝露歴がない群からは石綿繊維は検出されなかった。電子顕微鏡による解析で石綿繊維が検出された11名のうち、光学顕微鏡で石綿小体が確認できたのはわずか4名であり、石綿繊維検出には電子顕微鏡が優れていることが示された。また外科的あるいは剖検により十分な肺病理組織が得られた8名の病理組織により石綿小体を定量したところ、職業性の石綿曝露が疑われる程度の石綿が検出されたのは3名であったが、この3名はいずれも気管支肺胞洗浄液の電子顕微鏡解析でも石綿繊維が1000本/ml以上検出されており、気管支肺胞洗浄液による電子顕微鏡解析による石綿繊維検出は侵襲性の面では外科的生検査より低く、かつ十分な検出ができる検査法となる可能性が示唆された。 粒子状物質の電子顕微鏡による構成成分の解析においては、Feが職業性曝露を有する群において有意に高い割合で検出された。以上より、Feの検出は職業性肺疾患の診断に有用である可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
107名のうち、特発性間質性肺炎と診断されたのは40名、特発性肺線維症と診断されたのは26名である。本研究の重要な目的のひとつは、電子顕微鏡下の粉じん解析による特発性間質性肺炎、特発性肺線維症と職業性肺疾患の鑑別であり、可能であれば特発性間質性肺炎として150名程度、特発性肺線維症として100名程度解析する事が望ましいと考えられ、さらに症例の集積を行いたいと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
上述のように、さらに症例を集積して検討したい。特に、電子顕微鏡による気管支肺胞洗浄液からの石綿繊維検出については、より低侵襲に適切に職業性の石綿曝露による石綿肺と特発性肺線維症などの鑑別が可能となる可能性が示唆されたが、現在はこれらの診断基準は示されておらず、症例を集積する事により職業性石綿曝露を示す指標を作成できればと考えている。
|
Causes of Carryover |
電子顕微鏡の故障等により研究の中断期間があったことなどにより症例の蓄積が予定より遅れているため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き症例の集積を行いたい。 また、今年度は最終年であり、結果の発表を国内外の学会や論文等で広く公表したいと考えている。
|
-
-
[Presentation] ssessment of mineral particles and fibers in BALF in patients with interstitial lung diseases using electron microscopy.2014
Author(s)
T Kido, Y Morimoto, H Ishimoto, C Nishida, T Kawanami, K Yamasaki, Y Kawanami , K Yatera, T Mayumi, and H Mukae.
Organizer
American Thoracic Society 2014 International Conference.
Place of Presentation
San Diego, USA.
Year and Date
2014-05-21
-