2015 Fiscal Year Annual Research Report
特発性肺線維症におけるwnt/βcateninの関与の解明
Project/Area Number |
25860665
|
Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
小田 桂士 産業医科大学, 医学部, 修練指導医 (00625527)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 特発性肺線維症 / WNT/βcatenin signaling / 急性増悪 / 線維芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は細胞の分化・増殖に関与するWNT/β-catenin signalとそのリガンドであるWNT10Aが線維芽細胞において細胞外マトリックスの産生を調整し,線維化の機序で重要な役割を担っていることを報告してきた。しかし,肺組織における役割については不明であった。今回,我々は特発性肺線維症(IPF)におけるWNT10Aの関与について検討を行った。 C57BL/6を用いてブレオマイシン肺臓炎モデルマウスを作成し,肺内におけるWNT10Aの発現について調べた。さらにヒト線維芽細胞を用いて,WNT10AとTGF-β1の関連について検討を行った。また,外科的肺生検でUIP (Usual Interstitial Pneumonia)の病理診断が得られたIPF患者を対象とし,WNT10A発現と予後の関連について検討を行った。 ブレオマイシン肺臓炎モデルマウスでは,線維芽細胞にWNT10Aが強く発現していた。また,ヒト線維芽細胞に対しTGF-β1で刺激を行ったところ,WNT familyの中でもWNT10Aが最も強く誘導されることを確認した。さらにSiRNAを用いて特異的にWNT10Aの発現を阻害することで,細胞外マトリックスの産生が抑制された。また,WNT10Aが強く発現する IPF患者では予後不良な経過を辿るだけでなく,急性増悪の発生と関連していた。 つまり、IPFにおいてWNT10Aは線維芽細胞における分化・増殖に関与し,病態の進行を誘導しているだけでなく,急性増悪の発症にも関与していることが判明し、欧米誌に報告した。
|