2014 Fiscal Year Annual Research Report
腎糸球体上皮細胞におけるCD80発現の制御機構についての研究
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25860666
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
島田 美智子 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (40463765)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ポドサイト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、微小変化型ネフローゼ症候群における尿蛋白の発症機序を解明することである。CD80は本来、抗原提示細胞上に発現するTリンパ球刺激の副経路を担う因子であるが、CD80の腎糸球体上皮細胞(ポドサイト)における発現増強が微小変化型ネフローゼ症候群における尿蛋白と関連することが報告されている。培養ヒトポドサイトに対し、ウイルス抗原を模倣した刺激、すなわち人工の二重鎖RNAであるpolyinosinic-polycytidylic acid (polyIC)を添加するとポドサイトにおいてCD80 の発現とともに、細胞骨格の変化である細胞骨格(actin re-organization)を生じ、これは電子顕微鏡で観察される足突起融合に相当する細胞形態の変化であり、微小変化型ネフローゼ症候群に特徴的と考えられている。過去の報告において、動物モデル、培養ポドサイトにおけるCD80の発現は一時的であり、自然に消退することが知られている。よって、微小変化型ネフローゼ症候群においてCD80の制御機構に異常があるのではないかと考えられ、正常なポドサイトにおけるCD80の制御機構について検討を行うこととした。 これまでの実験の結果、ポドサイトにおけるpolyIC刺激では、IL-10はpolyIC 刺激後6時間、12時間は有意な変化を示さなかった。一方18時間、30時間と経時的に強い発現増強を認めた。CTLA-4は、刺激6時間後には一度減少の後、30時間後には増加が認められCD80の制御に関与するものと考えられた。通常、抗原刺激に続く炎症反応では、一定の時間を経過したのちに抑制性サイトカインが上昇し、炎症を終息させる。ポドサイトにおいても同様の機構がみられ、CD80の発現が一定期間認められた後に抑制性サイトカインの発現によってその発現が制御されるものと考えられる。
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