2014 Fiscal Year Annual Research Report
腎不全への細胞移植療法を目指したヒト多能性幹細胞からネフロン前駆細胞への分化誘導
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25860674
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
豊原 敬文 京都大学, iPS細胞研究所, 研究員 (60594182)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 腎前駆細胞 / 急性腎障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ヒト多能性幹細胞から、ネフロン構成細胞を派生させるネフロン前駆細胞への分化誘導法をさらに高効率に改善し、腎不全モデル動物に細胞移植することで、新たな腎不全治療の開発を目指すことを目的としていた。そのために、研究期間中に(1) ヒト多能性幹細胞からSIX2陽性ネフロン前駆細胞を、より高効率に分化誘導する成長因子や化合物の探索と分化誘導プロトコールの確立、(2)-1 ヒト多能性幹細胞由来ネフロン前駆細胞と生体内ネフロン前駆細胞の遺伝子発現プロファイル、表面抗原マーカーの比較検討、(2)-2 ヒト多能性幹細胞由来ネフロン前駆細胞の発生生物学、生理学的機能の検証、および、(3) ネフロン前駆細胞の腎不全病態モデル動物への移植と腎不全治療効果の検証を計画していた。 (1)に関しては、従来の15%前後から40%前後まで高効率にSIX2陽性細胞を作製することに成功した。また、(2)-1と(2)-2に関しては、OSR1、SIX2共陽性細胞が、生体ネフロン前駆細胞に近い遺伝子発現をしていることを確認し、3T3Wnt4 細胞やマウス胎児Spinal cordとの共培養、マウス胎生腎臓との器官培養によって、主に近位尿細管に分化することを確認した。また、免疫不全マウスのfat pad への移植においても、同様に尿細管様構造を形成した。(3)に関しては、OSR1、SIX2共陽性細胞を虚血再灌流急性腎不全モデルマウスの腎被膜下に移植することによって、腎障害が改善することを明らかとした。 表面マーカーの比較検討や、虚血再灌流急性腎不全モデルマウス以外のモデルマウスに対する治療効果は、本研究期間中には検討ができなかった。しかし、分化誘導法をさらに高効率に改善し、腎不全モデル動物に細胞移植することで、新たな腎不全治療の開発を目指すという本研究の目的は概ね達成されたものと考えられる。
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Research Products
(2 results)