2014 Fiscal Year Annual Research Report
PGC-1α-ERRα経路を標的とした糖尿病性腎症の新規治療法の開発
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25860680
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
田邊 克幸 岡山大学, 大学病院, 助教 (40534805)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 糖尿病性腎症 / 血管内皮成長因子 / ポドサイト / 核内受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、本邦で透析療法を必要とする末期腎不全の原疾患として最も高い割合を占める糖尿病性腎症の進展過程における新規の機序と治療標的としてのPGC-1α-ERRα経路の意義を検討したものである。 野生型マウスにおいて1型糖尿病モデルを作成し、早期糖尿病性腎症の腎組織におけるPGC-1αとERRαの発現を検討したが、mRNAレベルは後者で増加する傾向が認められた。ERRαの発現局在を免疫染色にて検討したが、免疫組織化学では主として腎髄質の尿細管上皮細胞に発現が認められ、糸球体内での発現について免疫蛍光により更に検討したところ、一部のポドサイトとメサンギウム細胞に陽性が示された。このため、糖尿病性腎症におけるポドサイトでのERRαの役割を検討するために、マウス由来ポドサイト細胞株を低または高糖濃度下で培養し、ERRαのselective antagonistであるXCT-790を添加したところ、高糖濃度によって誘導される、早期糖尿病性腎症のmediatorと考えられる血管内皮成長因子(VEGF)の増加が抑制される傾向にあった。 動物モデルでの糖尿病性腎症におけるERRα抑制の効果を確認するため、野生型マウスに同様な1型糖尿病モデルを作成し、ERRα阻害活性が証明されているkaempferolの投与を行った。これにより、12週での尿中アルブミン排泄の抑制が認められた。また、16週でのメサンギウム基質増加にも抑制傾向があった。更に、ERRαのノックアウトマウスを使用して同様の1型糖尿病モデルを作成したが、8週では尿中アルブミン排泄に有意な差が認められなかった。 ノックアウトマウスでの長期的な腎症進展抑制に関して更なる検討が必要であるが、本検討によりERRαの腎症の発生への関与とkaempferolによる治療効果の可能性が示唆された。
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