2013 Fiscal Year Research-status Report
慢性腎臓病における腸管内環境の変化とその病態に及ぼす影響
Project/Area Number |
25860688
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
吉藤 歩 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (70573286)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 腸腎連関 / 腸内細菌叢 / 慢性腎不全 / AST-120 |
Research Abstract |
慢性腎臓病(CKD)患者は増加の一途をたどり、そのエンドポイントである末期腎不全に伴う透析導入は毎年1万人を超えている。その頻度が高いことから現在、慢性腎臓病の適切な治療介入が急務となっている。その対策として日本腎臓学会では、食事療法・運動療法に加え、降圧・糖尿病の血糖コントロール・脂質のコントロールなど包括的治療が重要であると述べている。その治療のひとつである球形吸着炭はインドキシル硫酸をはじめとする尿毒素を腸管において吸着し、血中尿毒素レベルを低下させ、CKDの進行を抑制することが証明されている。しかし、吸着炭の作用標的である腸管環境とCKDの進行との関連、「腸腎連関」の病態は明らかにされていない。我々の目的はCKDにおける腸内環境の変化を検討するため、我々はこれまで6週齢の高血圧モデルラット(SHR)に5/6腎摘を施行し、12週間飼育し、慢性腎臓病モデルラットを作成し、球形吸着剤を経口投与する群としない群に分け、腎機能・腸内環境等の変化を様々な角度から検討してきた。これまでの我々の検討では、腎不全モデルラットにおいて、T-RFLP法およびPCR法においてLactobacillusが有意に低下していることがわかった。さらに、大腸のtight junction蛋白であるOccludin、ZO-1、Claudin-1が腎不全群において有意な低下を認め、球形吸着剤にてその低下を有意に改善させた。また、大腸goblet細胞の減少とgoblet細胞より分泌されるMucin-2についても同様の結果が得られた。そこで我々は腎不全の病態としてLactobacillusが低下することが、tight junctionおよびMucin-2の低下に関係していると推察している。 本実験の成果は2013年11月アメリカ腎臓学会で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腎不全を増悪させる可能性のある原因の微生物の1つを特定することができた。 また、その成果についてアメリカ腎臓学会での発表で多くの研究者が興味を持ち、ポスターを訪れ、質問してくれた。
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Strategy for Future Research Activity |
慢性腎不全ではLactbacillusが低下することが、わかったので、今後はLactbacillusの補充が治療の選択となるかについて検討をすすめる。また、メカニズムの解明のため、無菌モデルや細胞実験も追加し、真髄に進みたいと考える。
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