2013 Fiscal Year Research-status Report
TLR9遺伝子の一塩基多型を用いたIgA腎症オーダーメイド治療の開発
Project/Area Number |
25860689
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
佐藤 大介 順天堂大学, 医学部, 助教 (50621942)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | IgA腎症 / TLR9 |
Research Abstract |
我々はこれまでIgA腎症モデルマウスにおいて上気道粘膜におけるToll-like receptor 9 (TLR9)の活性化が腎炎惹起性IgAの産生増加を介して腎炎の増悪に繋がること、TLR9の遺伝子多型がIgA腎症腎症の発症・進展に影響を及ぼすことを報告している。本研究はこれらの基礎的知見に基づき、TLR9遺伝子の塩基多型(SNP)に着目し、SNP毎の腎予後、疾患活動性マーカーなどによる治療反応性などについて多面的に検討を行いIgA腎症のheterogeneityの解明を目指した研究である。 本年度はまず、当院におけるDNAストックから予備的検討も含めgenotypingを行った。次にTLR9遺伝子の塩基多型が腎予後にもたらす影響を検討するため、primary outcome を血清クレアチニンの1.5倍化、secondary outcome をΔeGFRとし、各臨床データの推移や治療方法などを観察する過去起点コホート研究を計画し開始した。コホートには2004年から2009年までに当院における腎生検でIgA腎症と診断された111名が登録され、腎生検時点におけるTLR9遺伝子SNPのgenotypingおよび腎生検時点の臨床データの収集は完了した。腎生検時点における背景因子(血清クレアチニン、尿蛋白など)に遺伝子多型間の差異は認めなかった。 現在、経過中の臨床データ・治療方法データの収集および疾患活動性マーカーの測定を行っており、次年度においてはデータ解析を含め多面的な検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は下記の4項目を中心に研究を計画し遂行した。 1)当科におけるIgA腎症患者のDNAストックから、予備的検討も含めたSNPのgenotyping 2)包含基準・除外基準に基づく対象患者の選定、腎生検時点を起点としPrimary outcomeを血清クレアチニンの1.5倍化とした過去起点コホート研究の計画 3)上記研究計画に基づき、SNPのgenotyping、患者の抽出、臨床データの収集開始 4)データ収集・保存用ハードディスクや統計ソフトウェアの購入など、臨床データ解析環境のセットアップ 対象患者の抽出、遺伝子多型のgenotyping、Baselineにおけるデータ収集などはおおむね順調に進んでおり、腎生検時点における遺伝子多型ごとの背景因子(血清クレアチニン、尿蛋白など)には違いが無いことを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は ・経過中の臨床データ・IgA腎症治療のパターンについて投与間隔・薬剤投与量など詳細なデータ収集 ・疾患活動性マーカーの測定 を行い、TLR9遺伝子の一塩基多型がIgA腎症の病態にもたらす意義について多面的な検討を行っていく。これらの検討結果については、研究結果の広報を目的とし国際学会および国際誌に発表する予定である。 また、検討結果をもとに介入研究のプロトコールを検討し、SNPごとの治療効果の検証を目的とした介入研究を計画する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初は平成25年度に疾患活動性マーカーの大規模かつ網羅的な測定を計画していたため試薬等を消耗品費として計上していたが、測定スケジュールの関係上一部の測定に留まった。このため、試薬等については次年度(平成26年度)に繰り越す事とした。 疾患活動性マーカー測定系のセットアップや測定スケジュール作成などは完了しており、平成26年度においては順次測定を進める予定である。
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