2014 Fiscal Year Annual Research Report
分子標的治療を目指した、IgA腎症の病態におけるAPRILの病因的役割の解明
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25860690
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
橋本 梓 順天堂大学, 医学部, 助教 (50646106)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | IgA腎症 / 口蓋扁桃 / APRIL / TLR9 |
Outline of Annual Research Achievements |
A proliferation-inducing ligand (APRIL)はB細胞の分化・延命に中心的な役割を担うサイトカインである。IgA腎症の病因に粘膜、特に口蓋扁桃における免疫異常が示唆されており、APRILの側面から扁桃免疫に着目した。また、IgA腎症の病因に、糖鎖異常IgA産生と糖鎖異常IgAに対する内因性抗体産生、それらの免疫複合体形成と糸球体沈着が深く関与しているが、それらの産生部位や責任細胞はいまだ不明である。 今回IgA腎症患者(IgAN)口蓋扁桃胚中心(GC)におけるAPRILの発現上昇を認め、その発現量と疾患重症度,血清IgG-IgA免疫複合体および口蓋扁桃摘出術とステロイドパルス療法(扁摘パルス)による治療効果との間に相関を認めた。また、口蓋扁桃GCのAPRILの主要な産生源がB細胞であり、口蓋扁桃GC B細胞がAPRIL variantsを含むAPRILとTLR9を過剰発現していることが判明し、それらの発現量に相関が確認された。TLR9のligandであるCpGでB cell lineを刺激するIn Vitroの実験により、元々発現のないAPRILの発現上昇と、TLR9 antagonist投与によるAPRIL発現低下が確認された。 以上より、外来抗原によるTLR9活性化を介し、過剰に発現したB細胞由来のAPRIL variantを含むAPRILがGC B細胞の延命に関与し、glycan specificまたはpolyreactiveな内因性抗体産生を介し免疫複合体形成に関わり、腎症進展に寄与していると考えられた。本研究はIgAN口蓋扁桃におけるAPRILに関連した免疫異常の一部を解明し、扁摘およびAPRILをターゲットとした新規治療の理論的根拠の一つになりえると考える。
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