2014 Fiscal Year Research-status Report
腎糸球体濾過バリア形成におけるERMタンパク質の役割の解明
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25860693
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
波多野 亮 立命館大学, 薬学部, 助教 (60521713)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 糸球体 / 足細胞 / 腎臓 / ERMタンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
ERMタンパク質のうちezrinは腎糸球体の足細胞に発現しており、sialoproteinであるpodocalyxinや足場タンパク質のNHERF2と相互作用することから足細胞の機能において重要な役割を果たして可能性が示唆されてきた。様々な糸球体疾患でezrinの発現低下や活性化型ezrinの発現低下が報告されているが、ezrinの明確な役割については明らかになっていない。我々はezrinノックダウンマウスを用いた解析において、糸球体足細胞におけるezrinの発現が著しく低下している事を確認したが、組織化学染色や電子顕微鏡像においても糸球体足細胞足突起における明らかな形態異常は認められなかった。免疫染色においても、podocalyxinやNHERF2の細胞内局在に顕著な局在変化は認められず、podocalyxinの欠損マウスに見られるような重度の足突起の癒合は見られていない。一方、ezrinはアクチン細胞骨格のリモデリングなどに関わるRhoシグナルを制御するRho GDP dissociation inhibitor (RhoGDI)と結合能を有し、Rhoシグナルの調節に関わる事が知られている。足突起の形態変化にはRhoシグナルの活性化に伴うダイナミックなアクチン細胞骨格のリモデリングが関わっているものと考えられており、ezrinは様々な病的刺激によって引き起こされるRhoシグナルの活性変化時に重要な役割を果たしていることを示唆する結果が得られている。ezrinノックダウンマウスを用いて薬剤性の糸球体傷害を引き起こす事でその生理学的役割を明らかにする事が出来るものと考えており、現在検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の遂行に関して、ezrinノックダウンマウスを用いたin vivoでの機能解析が順調に進んでおり、糸球体単離法の確立によって低分子量GTPase Rhoの活性測定等によりezrinのRhoシグナル制御を介した役割が明らかになりつつある。また、不死化足細胞を用いたin vitroの実験結果や病態モデル動物を用いた機能解析結果も合わせて、研究成果の取り纏めを進めて行く予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の方針として、現在進行中である遺伝子改変マウスを用いたin vivoでの研究と不死化足細胞を用いたin vitroでの研究を並行して実施し、研究成果を取り纏める。 1) in vivoでの解析について:個体レベルにおいてプロタミン硫酸やLPSによる急性の糸球体傷害を誘発する事による、単離糸球体のRhoシグナル活性の変化について検討すると共に、ezrinの欠損がそのような病的条件下において関連タンパク質の局在等に与える影響を検討する。 2) in vitroでの解析について:in vivo同様にプロタミン硫酸やPuromycin Aminonucleoside(PAN)処理による細胞の形態変化やRho活性の変化に与えるezrinの有無の影響について検討する。 以上の方法により、腎糸球体におけるezrinの生理的な意義について検討を進める予定である。
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Research Products
(2 results)