2015 Fiscal Year Annual Research Report
腎糸球体濾過バリア形成におけるERMタンパク質の役割の解明
Project/Area Number |
25860693
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
波多野 亮 立命館大学, 薬学部, 助教 (60521713)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 糸球体足細胞 / ERMタンパク質 / Rhoシグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題において、ERM(ezrin, radixin, Moesin)タンパク質のうち、特にezrinを中心に糸球体濾過バリア形成において果たす役割について詳細な検討を進めてきた。これまでezrinはシアロタンパク質であるpodocalyxinの局在制御などを行う事で、ポドサイトの足突起形成に必要不可欠な役割を担っているものと考えられてきた。しかし、ezrinノックダウンマウスを用いた研究では、ezrinの発現が著しく低下してもポドサイトの足突起に形態の異常が見られず、正常時においてezrinは必ずしもポドサイトの突起形成には必ずしも必要ではないことが示唆された。近年の研究では、様々な糸球体傷害時のポドサイトの足突起形態変化には低分子量Gタンパク質であるRhoが重要な役割を担っている事が報告されており、ezrinはpodocalyxinの足場タンパク質としての機能よりも相互作用タンパク質の一つであるRhoGDIの機能制御を介して傷害時の足突起の形態制御に何らかの役割を果たしている可能性が想定された。ezrinノックダウンマウスは糸球体障害に伴うポドサイトの形態変化に抵抗性を示す事も判明し、糸球体傷害時において単離糸球体におけるRhoA及びRac1の活性がezrinノックダウンマウスにおいて変化していた。このようなRhoシグナル活性の変化に伴ってezrinノックダウンマウスにおけるポドサイトの形態変化が抑えられているものと考えられる。本研究成果から、ezrinを機能的に抑制する事でポドサイトの形態変化を防ぐことが可能であるものと考えられ、ezrinを標的とした薬物の開発はネフローゼ症候群に対する新たな治療法に繋がることが期待される。
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Research Products
(3 results)