2014 Fiscal Year Annual Research Report
MIA症候群における新しいバイオマーカーの探索;ペントラキシン3の可能性
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25860695
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
宮本 哲 産業医科大学, 医学部, 非常勤医師 (30611305)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ペントラキシン3 / 血液透析 / バイオマーカー / 栄養リスク |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】蛋白質エネルギー障害(PEW)は透析患者の生命予後に大きく関係し持続性炎症反応との関連が指摘されている。ペントラキシン3 (PTX3)はペントラキシンスーパーファミリーに属し、CRPと異なり様々な細胞で産生される急性期蛋白で動脈硬化関連疾患の予後予測因子として多くの報告がある。今回、日本人透析患者において血漿PTX3が生命予後の予測因子となるか検討した。 【方法】維持血液透析患者380名(平均年齢66歳、女性38%、糖尿病36%、平均透析期間10.0年)を対象とした前向き観察研究。血漿PTX3濃度(ELISA法)と生命予後との関連をCox比例ハザードモデルを用いて検討した。栄養リスクはGeriatric Nutritional Risk Index (GNRI = 1.489 ×血清アルブミン(g/dL)+ 41.7×理想体重比、理想体重比 > 1 の場合は1として計算)で評価した。 【結果】観察期間の中央値は32ヶ月、観察期間中の総死亡は51名であった。血漿PTX3の中央値は 5.2 (1.7-10.4) ng/mlでPTX3値は透析期間・HDLコレステロールと正相関し、GNRI・BMI・中性脂肪と負の相関を認めた。第2三分位値(6.29 ng/ml)より高値であった患者群を高PTX3と定義し多変量解析を行うと高PTX3は独立した予後予測因子であった(HR2.73,95%CI 1.52-4.92, P=0.001)。 栄養リスクの有無で層別解析を行ったところ栄養リスクがある患者群(GNRI < 91.2)においてのみPTX3は生命予後を予測した(HR4.53,95%CI 2.08-10.4, P<0.001)。高PTX3かつCRP>0.29mg/dlではHR6.82,95%CI 3.35-14.2, P<0.001)、高PTX3かつIL-6>7.7 pg/dl ではHR7.03, 95%CI 2.6-18.6, P<0.001であった。 【結論】血漿PTX3は栄養リスクのある日本人維持血液透析患者において生命予後予測因子となる可能性が示唆された。CRPやIL-6を同時に測定することでより正確に予後不良患者を予測できると考えられた。
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Research Products
(1 results)