2013 Fiscal Year Research-status Report
新規慢性期脳梗塞治療戦略としてのグリア細胞による組織リモデリングの検討
Project/Area Number |
25860702
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
金澤 雅人 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (80645101)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脳虚血 / 慢性期 / ミクログリア / 細胞移植療法 |
Research Abstract |
本研究は慢性期脳梗塞の治療標的として、神経細胞に加え血管内皮細胞を含むneuro-vascular unit(NVU)のリモデリングを促進させるグリア細胞の関与を明らかにすることである。さらに、ミクログリア細胞移植により、慢性期の回復を促進させるかを検討している。 我々はまず、ラット遠位中大脳動脈閉塞モデルを用い、虚血後組織障害を経時的病理変化を検討した。虚血中心に経時的にミクログリアの集蔟を見出した。このミクログリアは、細胞増殖能を有するものであった。また、同部位には、新生と考えられる血管内皮細胞も認めていた。また、脳組織の抽出液を用いたウエスタンブロットで、細胞外マトリックスのIV型コラーゲン、ヘパラン硫酸プロテオグリカンの経時的な現象を明らかにした。 さらに、in vitroの虚血モデルとして、ミクログリア、アストロサイト、神経細胞の初代培養細胞系の確立も行った。同モデルにおいて、低酸素低糖状態(OGD)で培養したのちに、細胞障害をLDH測定にて、評価することが可能となった。また、OGD後に、ミクログリアの細胞抽出液、培養培地から、mRNAレベル、ウエスタンブロッティング、ELISAにおいて炎症性サイトカインであるTNF-α、IL-6の産生増加と分泌、抗炎症性サイトカインであるIL-10の産生減少を認めた。これにて、in vitroの虚血実験の確立を行った。さらに、組織障害性ミクログリア(M1)のマーカー、組織修復性ミクログリア(M2)マーカーの免疫染色を確立し、M1/M2分画の評価を可能とした。 引き続き本モデル動物、初代培養細胞を使用し、実際にミクログリアの細胞移植を行い、回復促進作用について現在検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験ラットの供給元が実験舎を縮小するという不慮の原因により、動物モデル手術が十分な数施行できなかったため、実験が一時滞った。しかし、2月から再びラットの供給が安定し、目的とする実験が再開でき、遅れを回復しつつある。 その一方で、初代培養細胞系の確立は終了し、細胞障害の測定や細胞培養液のVEGFのELISAの実験は確立した。さらには、当初計画していなかった各種サイトカインのELISAやmRNAのPCRを実施することができた。全体として、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
ひきつづき同様の方針で慢性期の組織回復のメカニズムの検討と、ミクログリア細胞移植の検討を続ける。 特に今年度は、実際の細胞移植をおこなっていくが、初代細胞培養の系は、準備に時間がかかり、連続した時間が必要である。今年度は勤務形態が一部変更され、本実験に当てる時間を増加させることができるようになった。実験に集中して取り組む方針である。 また、初代細胞培養は、細胞数を増加させることができないため、実験の結果を踏まえてから、数を調整することでも実験の制限となる。あらかじめ、必要細胞数をある程度多く予想して、平成25年以上に細胞の準備を頻回として、実験が滞ることないように進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
動物供給先の工場縮小による生産能力低下が生じ、動物の受け取りが大きく損なわれた。そのため、実験の進行が妨げられた。当初このような事態は予想しておらず、実験費用が縮小した。 昨年度2月から動物の生産が安定しており、受領が正常化している。昨年度の遅れ、in vivoの手術と初代細胞培養を今年度はより多く行い、遅れを回復させる。さらに、今年度本研究にあてるエフォートが増加可能なので、実験を進めていく方針である。
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Research Products
(2 results)