2015 Fiscal Year Research-status Report
マクロファージコロニー刺激因子受容体遺伝子異常による若年性認知症の病態解明
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25860704
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
福島 和広 信州大学, 医学部, 特任准教授 (10421835)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 神経軸索スフェロイドを伴う遺伝性び慢性白質脳症 / 若年性認知症 / マクロファージコロニー刺激因子受容体 / ミクログリア |
Outline of Annual Research Achievements |
当施設で遺伝子診断したHDLS(Hereditary diffuse leukoencephalopathy with axonal spheroids、神経軸索ジストロフィーを伴う遺伝性白質脳症)の患者から同定されたヒトマクロファージコロニー刺激因子1受容体(macrophage colony-stimulating factor 1 receptor: CSF1R)の遺伝子変異を導入した培養細胞を作成して検討を行った。 まず、野生型のCSF1RのcDNAを組み込んだベクタープラスミドを構築した。これをもとにして、当施設で全国の医療機関から遺伝子診断の依頼を受けた患者のDNAから同定されたCSF1Rの遺伝子変異を、Site-Directed Mutagenesis(部位特異的突然変異誘発法)を用いて組み込んだ。3種類の点変異を採用して、3種類の遺伝子変異を有するベクター・プラスミドを作成した。 つぎに遺伝子導入の効率を確認するために、変異が導入されていない野生型のCSF1Rのベクター・プラスミドを、エレクトロポレーション法を用いてアフリカミドリザル腎臓由来COS細胞に対して遺伝子導入を行った。細胞培養、パラホルムアルデヒド固定~浸透処理の後に、CSF1Rタンパクがエレクトポレーション法で遺伝子導入を行った培養細胞の細胞質と細胞表面に発現していることを、免疫組織化学法を用いて確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた本研究の遂行に充分な患者末梢血由来単球の入手が出来なかったため、研究の遂行に困難を生じた。その対応として今後は患者由来検体を材料の中心とした当初の研究計画を見直して、当施設で患者から同定した遺伝子変異を導入した培養細胞を用いた方法で研究を進めることにした。以上の経緯より研究の進捗に遅れを生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
野生型CSF1Rおよび変異CSF1Rを培養細胞に発現させ、細胞形態の変化、CSF1Rの局在を観察する。また、野生型、変異型CSF1Rを発現させた培養細胞からRNAおよびタンパクを抽出し、網羅的な遺伝子発現解析およびプロテオーム解析を行い、変異型CSF1Rにより特異的に発現が増減する遺伝子を同定し、主に細胞内CSF1Rシグナル伝達分子に注目し検討する。
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Causes of Carryover |
当初計画で見込んだよりも本研究の遂行に充分な患者末梢血由来検体を得ることができず、研究計画の見直し・変更を行ったため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
細胞培養試薬、培養細胞検体を用いたDNAマイクロアレイおよびプロテオミクス解析に使用する予定である。
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