2013 Fiscal Year Research-status Report
プロテオミクスと組織化学を駆使したCADASILの原因物質の同定
Project/Area Number |
25860717
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
植田 明彦 熊本大学, 生命科学研究部, その他 (30613525)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | CADASIL / GOM / 組織化学染色 / 過酸化水素 / アミン酸化酵素活性 |
Research Abstract |
本研究において、CADASIL特異的病理所見Granular Osmiophilic Material (GOM)の組織化学染色法の開発に成功した。CADASIL特異的病理所見であるGOMはアミン酸化酵素活性を有すると仮説を立て、GOMの組織化学染色法を開発した。アミン酸化酵素は、アミンを基質として、過酸化水素を生成する酵素であるが、本染色では、セロトニンの類似物質で安定な塩酸トリプタミンを基質して、西洋わさびペルオキシダーゼ (HRP) により生成した過酸化水素を反応させ、DABを反応させて染色した。本方法では、細胞質とGOMの両者に染色性があり、非特異的な染色も見られたため、本染色時にアジ化ナトリウムを加えたところ、よりGOM選択的に染色性が見られるようになった。本染色は、脳血管および皮膚血管の両者にみられ、Notch3の蓄積の分布に一致していた。本染色行程でHRPを抜いて染色したところ、GOMの染色性は消失した。以上のことから、本染色性はHRPを必要とし、過酸化水素に関係した反応によるものと推測された。 GOMのアミン酸化酵素活性として、モノアミン酸化酵素(MAO)およびsemicarbazide sensitive oxidase (SSAO)抗体を用いて、免疫染色したところ、脳血管にMAOの染色性はなく、SSAOの染色性を認めた。しかし、SSAOの染色性は皮膚の血管には見られなかった。以上より、SSAOは二次的に共存する蛋白と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
CADASILに特異的病理所見であるGOMの組織化学染色法を開発・改良し、より選択的な染色法とすることに成功した。また、蛋白解析において、CADASILの病態を反映する蛋白質を同定つつあり、確認の段階に入っている。過去のプロテオミクス解析により同定されたTIMP3と同等もしくは、それ以上にCADASILの病態生理を反映していると考えられた。しかし、質量分析装置を用いたNotch3変異部位の修飾物質の同定に関しては、Notch3の選択的抽出方法が確立しておらず、質量分析装置を用いた解析には至っていない。以上より、進捗状況はやや遅れているものとした。
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Strategy for Future Research Activity |
Notch3細胞外ドメイン抗体を用いて、Notch3蛋白質を組織から抽出し、質量分析装置を用いて、Notch3の修飾部位の質量解析を行う。Notch3の変異部位の修飾物質とGOMの生化学的性質との関連性を検証する。変異型Notch3をKnock-inしたモデル動物を用いて、生体内でのGOM生化学的活性をリアルタイムで観察する実験系を確立する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験計画のうち、モデル動物を用いた生体内での実験系を確立させるために必要な費用の割合が多く、モデル動物を用いた生体内での実験系の確立は次年度に予定しており、次年度に使用する予算配分が多いため。 CADASILのNotch変異蛋白をknock-inしたモデル動物を用いて、生体内でGOMの生化学的活性をリアルタイムに評価する実験系を確立する。
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