2014 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオミクスと組織化学を駆使したCADASILの原因物質の同定
Project/Area Number |
25860717
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
植田 明彦 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (30613525)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | CADASIL / 中膜顆粒状変性 / GOM / 新生内膜 / 候補蛋白質 |
Outline of Annual Research Achievements |
1) プロテオミクス解析による網羅的解析 CADASIL剖検脳組織の切片を作成して、レーザーマイクロダイセクションを行い、CADASILの病態に係る候補蛋白質の検索を行った。CADASIL Notch3 R133C変異 62歳男性およびR449C変異 62歳男性の脳組織切片を作成して、径200-500 μmの髄膜動脈を採取して、LC-MS/ MSで中膜顆粒状変性部位の共存蛋白を検索した。血管増殖に関係する蛋白質が病態に関連する蛋白質として検出された。本蛋白質は比較対照とした剖検脳組織では検出されず、CADASIL症例のみで検出されたため、CADASILの病態に関係する候補蛋白質と考えられた。本候補蛋白質の抗体を用いた病理解析では、脳血管の中膜の顆粒所変性部位への染色性は乏しく、肥厚した新生内膜に強く染色された。したがって、本候補蛋白質は血管変性課程の初期において、関与する蛋白質であると推測された。 2) 組織化学染色からのターゲット解析 CADASIL特異的な病理所見であるGranular Osmiophilic Material (GOM)を組織化学染色で検出することを試み、GOMを光学顕微鏡で観察する方法を開発した。その組織化学染色法から得られたGOMの化学的性質に基づき、GOMの構成成分を探索した。候補物質の抗体により、免疫組織学的検討を行ったところ、CADASIL剖検脳組織の髄膜動脈の中膜顆粒状変性部位に候補物質の共存が確認された。従って、組織化学染色から得られた候補物質はCADASILの病態を反映している可能性があり、その候補物質とCADASILのNotch3蛋白の変異との関係について、今後検討する必要があると考えられた。
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